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「ともだちになろう」

まだ小学校にも上がらない歳のころはみんな、何かとすぐこれを言っていた。



子供のための広場(ショッピングモールのアスレチックやテーマパークみたいな公園)に行けばわんさか子供がいた。そこはワクワクが溢れすぎて、人見知りのわたしはいつも心細くなってしまう。とりあえず妹の手を引いておずおずと進んでみる。

突然、女の子が一人「ともだちになろう!」と駆け寄ってきた。「いいよ!」と返して、妹からぜったい目を離さないよう手をギュッと握った。話しかけてくる大抵の子はわたしと歳が近かったからすぐに気が緩んだ。

「私はカナ(仮)っていうの」
「わたしはナオコ(仮)で妹はミチル(仮)」
「あっちで遊ぼう!」
「うん!」

夢中になって遊んでいるとあっという間に(どちらかの)お母さんかお父さんの呼ぶ声がかかる。すこし寂しいけどバイバイする。もう会わないのに「また遊ぼうね」なんて言ったり、目を見つめ合ったりする。

こういうのって不思議。はじめのうちは丸っきり見知らぬ子でもあっという間に知ってる子になって、最後はちゃんと「ともだち」になるんだから。

大人でもそういう関わりはあるけど、あれほど屈託の無いようにはもう振る舞えない。ただ、見知らぬ人って必ずあたらしい空気を運んでくる。それはいつも同じこと。

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