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[一語一会 #6] 乱心

朝,目が覚めると,なぜか泣いている.

みたいな経験は私には(確か)ないのだけれど,ここ二日続けて朝は目が覚めてもお布団の中でしばらく時間を過ごして,考え事をしていたので,もしかしたら,今後そういうことも起こるかもしれない.

大学院の入学試験で落第してからというもの,弱い人間の私には一抹の不安が渦巻いている.実際に大学を卒業するという段になって,だんだん実感をもって自分の足元におぼつかなさを感じてしまい,いろいろな場面で考え事をしてしまうことがしばしばある今日この頃だ.

そんなこんなで,お布団の気持ちよさも相まって,寝床で考え事をしていたというわけだ.世の中には,そんな経験,心が乱れるということがない,という人もいると聞くが,私のように時間をかけて思い悩んでしまう人が少数派であるということはないとも信じているところである.

さて,どういうところに原因があるのかと考えてみると,自分の性格として二つ思い当たる節があった.

一つは,孤独を楽しむタイプだが,寂しがり屋でもあるということだ.人間関係は得意ではないので,社会と言う人間関係でできているものがおそらくそんなに得意ではないのだと思う.自分で思考をしていくことが好きだし,スピードはともかく,その時間は間違いなく必要なのだ.ただ,得意でない一方で寂しがり屋な性格もあって,人間関係がうまくいかない,いっていないと感じてしまうと,孤独の時間をとり自分に焦点を当てて考えを深め,仕舞いには(特にネガティブな感情と言葉の)コントロールが効かなくなってしまうことがあるのだ.

もう一つは,前にも述べたことだがプライドが高いということだ.これは前者と溶け合っている部分もあるように思われるが,私は,自分で答えを出すこと,自分で考えることにこだわりを持っているのだと思う.だからこそ,そこに至る過程で自分で丁寧に考えようとして,でも,おそらくその能力の限界もあり,乱れていくのだろう.

ここでもまた,自分をメタに観察する力と思考より行動を先にする力をいかに養っていくかがカギとなっているように思われる.例えば,時には思考をセーブしたり,身体を動かすなどして切り替えをしたりすることができるとよいだろうし,最初に思考に甘んじることの自分の弱さを断ち切るだけのAction-orientedな言動に慣れていくことを大事にしたいと思うのだ.

少し違う角度から言うと,自分をあきらめないことだともいえる.
「乱心」はもともと,「殿のご乱心か!?」みたく,目上の人の分別が欠けて見える言動に対して,揶揄する意図を含んだ言葉とも考えられる.これを自分に対して適用することは,そういう言葉を使って,揶揄する言葉にとどまり,自分を自分で突き放すことに他ならない.

その点でも,ちょっとしたことでも自分を信じて,少しでも変えようとしてみる,一つずつ変えていくことから,始めていきたいと思う.

結果的に行動から始まる事柄が増えれば,だから,例えば,朝,目が覚めてなぜかわからないけれど泣いている,みたいなことが起こるようになれば万々歳じゃないだろうか.

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