[一語一会 #23] 森林限界
もう4年前のことになるが,センター試験地理では満点を目指していた.
結果的には,97点だった.間違えた問題について細かいことはすでに記憶にないのだが,「丁字路」という言葉を習った覚えがないということで,明らかな思考不足で間違えてしまったことは印象に残っている.
ただ,高校の課程の地理で習ったことは豆知識的なもので,今の世界情勢を理解する基礎知識としても意外と役に立つ(ただ,最近個人的には歴史の重要性もだんだんと身に染みてきていて,教養としては両方やるのが望ましいのだろうなと思ってはいる).
例えば,肥沃な地質として有名な,黒土地帯というものがある.黒海の北の地域が有名であり,そこでは農産物の生産に非常に適した土地となっている.
ウクライナである.要衝であることは間違いなく,これまでも歴史上で重要な舞台になってきたし,近年でも小麦の輸出が盛んな国であったわけなのだが,昨今の戦争の影響で,ただでさえ高騰している小麦の値段がさらに上がっていくと予想されている(なお,ロシアもかなりの小麦輸出国であり,こちらも注意が必要なのは間違いない).
他人事であるものの,私たちにも影響があるという点で,様々な形での関心は絶やさないようにすることが大事なのだろうと個人的には思っているところだ.
さて,本題に取り掛かるとしよう.山の植生は多岐にわたるが,一般的に言って,地理的な様々なファクターによって,標高が上がっていくと,それ以上の高さでは森林が形成できなくなる高さがある.それを森林限界と呼ぶわけだ.そのファクターには,例えば,温度,乾燥,地質などがある(と記憶している).
高度が高くなると,温度が低くなることや,雨が少なくなること,水を保持できる面積が減ることなどは想像に難くないことであると思うが,そういうことによって森林が育たない環境が生まれるということだ.
正直なところ,この知識が実際に役に立ったことはこれまでにはなかった.この文章を書くことで初めて役に立ったくらいだ.
ただ,新型コロナウイルスが流行りだす前は,家族で登山をすることがときたまあったので,そのようなときには役に立つかもしれないなと思う.自然を愉しみ,慈しむという点で,非常に理解を助ける知識であることは間違いないと思う.
私たち人間の科学は進歩してきたとは言え,わからないことの方が多い,ということは著名な科学者がこぞって述べるように,科学の基本だ.
例えば,物理だけではわからないことがたくさんある.
世界一のスパコンを使ったシミュレーション(≒数値計算)でもわからないことがたくさんある.
私たちはComplexity(コンプレキシティ,敢えて訳すなら複雑さ)の中に,いる.それを推測やヒューリスティック(経験則)によって解釈して,地球の一部として暮らしているのが私たち人間であるし,まだまだそれらが部分的に卓越した価値を持っている所以でもある.
そのようなものの集積体であるところの地理や,伝承や,物語というものは,取り扱いに気を付ける前提で,非常に有用な学問であると,思う今日この頃でもある.
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