コロナ禍でのZoomの粗利率低下から、パブリッククラウド利用による決算書への影響を読み取る
パブリッククラウドとは、AWS、Microsoft、Google、Oracle、IBMなどが提供する、IT基盤サービスです。
そして、ZoomはパブリッククラウドのシェアNo.1を誇るAWSのお客さんです。
ZoomのサービスはAWS上で動いています。
ZoomのCEOはAWSが大好きです。
Zoomのサービス基盤としてパブリッククラウドを利用することで、コロナ禍での急激なユーザー数、トラフィック増に耐えることができました。
ただ、パブリッククラウドは従量課金です。使えば使うほどコストがかかります。
そこで、パブリッククラウド利用がどれほどZoomの決算に影響を与えたか、影響への今後の対策はどうするのかを調べてみました。
(便宜上、パブリッククラウドをクラウドと表記します)
無料利用増加とクラウド活用による粗利率低下
まずは、コロナ前とコロナ禍の4半期ごとの決算を比較します。
コロナ前と比較し、売上高、営業利益率は大きく伸びていますが、粗利率が大きく低下しています。
この理由は、CFOによると2つあります。今回は以下理由②の詳細と、今後の対策を調べました。
コロナ禍で急激に増えたトラフィック
ユーザー数、トラフィックは急激に伸びました。実際にどれほどトラフィックが増えたのか、可視化してみました。
2兆分ってやばいですよねw
ちなみに、2019年11月〜2020年10月は3.5兆分だそうですw
利用時間の急増に対応するために、既存クラウドパートナーであるAWSやMicrosoft Azureに加えOracleクラウドを活用し、サービス提供を継続することができました。
2021Q1のPrepared Remarksによると、ZoomのCEOは公にクラウドプロバイダー、特にAWSの貢献にとても感謝していました。
AWSを筆頭にしたクラウドのおかげで安定してサービスを継続提供できた点は間違いありません。
ただ、その分粗利率が低下しています。
データセンター拡張で粗利率の改善
2020年2月〜4月期決算に関するCFOのコメントで、データセンター拡張により原価削減を目指すというものがあります。
このコメント通り、データセンター拡張費用と思われる数値が、投資キャッシュフローの変化から読み取れます。
コロナ前のZoomの有形固定資産の大半はコンピューター関連です。コロナ前からクラウドに加え、データセンターにサービス基盤を持っています。
さらに、CFOのコメントに2020年6月〜8月期はデータセンター拡張による粗利率の改善成果とありました。
2020年6月に、Zoomがデータセンター大手のEquinixを利用しているという事例が公表されました。
数%ではありますが、前四半期と比較して改善していたようです。
ただ、2020年5〜7月期はさらに悪化しています。
2020年5月〜7月期のCFOのコメントに、無料利用時間の増加やクラウド利用によるコスト増の可能性は読めないため、粗利が悪化することも有り得るとありました。
まとめ
Zoomはコロナ禍での急激なトラフィック増加にAWSなどのクラウドを利用して対応しました。
ただ、コスト効率のために今後データセンターにも投資をしていくと思われます。
クラウドと自社でサーバー等を保有するオンプレミスの両方の良さを知ることができた好例でした。
2021Q4の結果と2021期の10-Kが楽しみです。
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