全宅ツイ不動産チンパンジー情報 第88号
【特集】オフィス市況二異常アリ!?
今回の全チンはオフィス回です。「オフィス市況は景気の先行指標」とも言われるだけに今後の日本経済を占うヒントが盛りだくさん。コメンテーターは「オフィス空室予報士」として、noteで質の高いオフィス情報をお届けしているとっくさんと、お星さまになってしまったN的まにあ氏の後釜を担うオフィスの達人・ドゥーングリグリ左衛門さんのお二人にお越しいただきました。(プレゼンター:あくのふどうさん)
あくのふどうさん(以下、あくの):じゃあ始めますか。ドゥーンさんはお初ですね。あんまり情報がないんですけどファンド畑の人という認識で合ってますよね?
ドゥーングリグリ左衛門(以下、ドゥーン):そんな感じです。N的先生のDonguri芸に私淑していましたが昇天されたので今回意思を引継ぐべく参加させていただきました!!!
とっくさん@(以下、とっく):アメリカもよく行かれてますよね?
あくの:ほうほう。オフィスの話の前にアメリカの話ちょっと教えていただけますか。
ドゥーン:今回のオフィスの話と通じるんですが、米国のオフィス市況はまちまちですね。東海岸、NYはオフィスワーカーの戻りは比較的早いんですが、西海岸は遅い。あっちはTech系は働き手の力が強いんで、在宅勤務のおいしさを味わった従業員に「オフィス戻れ」言うても聞かないらしいwww
あくの:そうなんですね。ハード作ってる人たちは出社してるみたいですけど。
ドゥーン:経営者的には出社させたいみたい。オフィスに出社させたほうがやっぱり業務効率は上がるから。まあ不景気になって、会社サイドの力が強くなったら、従業員に「とっとと出てこいや!!」って言えるから逆にオフィスに人戻るかな、って話ですね。今だと同じポジションでも転職したほうが給料上がる社会なんで。いいなあ。
・苦境が続く大型オフィス、フリーレント10カ月も
あくの:夢ある。そしたら本題に行きましょうか。お二人にお聞きしたいのは、ずばり「最近のオフィス市況」です。どうなんですか?
ドゥーン:オフィスはキャップレート(Cap)潰れてしんどい。
とっく:しんどい。足元は回復してるけど、大型ビルはそれこそきつい。あのすとみもも苦労してたから…。
ドゥーン:大きいビルほどしんどいですよねー。フリーレント(FR)何か月で見ていますか? エリアによりけりだけど、表面賃料を守るので精一杯、って感じですかね。
とっく:FRは10は珍しくない。
ドゥーン:10か…。12が見えてきた……。FRそこまで付いちゃうと、「出たらおしまい」なんですよね。コアだと長く持って、っていうのがあれど、オポチュニスティックなファンドだと最後出口一発勝負するしか無くなっちゃうし、下手したらローンのコベナンツにヒットして配当停止になっちゃう。
とっく:普通に「10ヶ月後の移転かつFR8」とかあるので、みんな今期捨ててるレベルなんじゃ無いかなと思ってます。
あくの:うーむ。
とっく:もちろんこれは特殊な大型ビルの例で、立地が良い物件は戻って来てますけど。ただ、3番エリアや4番エリアはもうジャブジャブやってます。
あくの:3番、4番ってどのあたりが該当するんでしょう。
とっく:一つは湾岸、東品川、青海、お台場あたりから、中央区の晴海などはライバルビルも多くてキツい。
あくの:あの界隈ですか…よくわかりました。
ドゥーン:イツメンだ。でもおっきなビルでそれなりに売り物があるのはその辺りなんだよね。
とっく:もう一つは、蒲田から川崎にかけての、オフィスは多いがニーズが弱いエリア。一昔前はJTCが丸っと借りていたような、安くて広くてちょい古め。
ドゥーン:あー。
あくの:街並みのヴィジュアルが完全に見えました。
とっく:コロナでオフィスの恩恵が少しあったのは、「立地の悪い自社ビル勢」がオフィスを売って既存の賃貸オフィスビルにテナント入居するケースが出てきた事。
ドゥーン:某N通かな…
とっく:この手の話は複数社あります
ドゥーン:なるほど
あくの:3番、4番エリアって感じします。
とっく:あと合併によりオフィスを手放すパティーン。A社とB社が合併してオフィスを統合したいが、片方は自社ビル所有。統合という名目で自社ビルを売って、まとめて2社で動く。自社ビルは既存の空室オフィスにカウントされてないので、結構その手法で「新規移転ニーズ獲得!」と言って空室の埋め戻しに貢献しています。
ドゥーン:なるほど。
あくの:事務所も中央集権型がすこし変わってきてるってことなんすかね(人来ないから資産リストラしてるだけか)
ドゥーン:目黒の某おっきな「行人坂の魔物」的なオフィスの札入れもいまいちでしたね。2,000億円のターゲットと聞いていましたが、結局一番高値の札入れたのは某外資、二番手でヒューリックと聞いていましたが、結局1,000億円の後半がせいぜいだった、と。
あくの:へえ。
ドゥーン:仲介も半泣きになって、何でもいいんで札入れて、ってなってたらしい。
とっく:やっぱりヒューは取れそうなところ必ず食い込んできますね。
ドゥーン:あれ、ホテルよりも中心テナントである某巨大ECが抜けたら相当しんどい。あそこ抜けたらリテナントで死ぬし、賃料もしんどいし、めちゃくちゃレッドオーシャンになるから。
とっく:ですね。大型ビルのテナントは集中させない方が、今の市況だと圧倒的に良い気します。PMは死にますが・・・。
ドゥーン:ですね。
あくの:バカでかすぎるんですよね。あの立地で。
ドゥーン:多分、ぶっちゃけ元所有者の某国ソブリンファンドが買った価格って、Cap Rateや賃料をマーケット水準並みに見てまあまあ心地よい感じなんですよね…。多分、巡航ベースのあの物件の実力、多分1,500-1,600億円くらい。たぶん。
あくの:今回は巡航の2割くらい高く買った、って感じですか
ドゥーン:まあ将来の賃料アップサイド織り込んで、ですかね。多分、1,500-1,600億円で札入れしたら売主もさすがに売らない、というか怒り出すかも。
あくの:うーむ
ドゥーン:まあ十分売り時ですね。1,000億円台後半の札でも十分に。
とっく:将来の賃料アップこれ以上きついと思うんですけど、狙えるんですかね?
全宅ツイにご感心ご興味いただきありがとうございますウホ。皆様のご支援のおかげで楽しい企画が続けていけます。これからもよろしくお願いします。