色を聴く
数週間前から気になっていた文章をやっと見つけた。1984年にオンエアされたラジオCMのナレーション原稿。
コピーと声の出演はともに寺山修二氏。なぜか急に読み返したくなって探していたけれど、なかなか見つけられなかった。あきらめかけたいたときに、ひょっこり出てきました。大好きなラジオCMです。みなさんにご紹介します。 ※以下、全文引用。 Statue:mark manders
ラジオCM「ソニーカセットテープ 色と音篇」
(コピー・声の出演/寺山修司)
みなさんこんばんは、寺山修司です。
ぼくたちは、いろんな色を見ることができるわけですが、
目の見えない子供たちは、色をどんなふうに感じてるのか、
きのう、文京盲学校の生徒さんたちと会って話したわけです。
すると目の見えない子供たちは、
色を音であらわすんだ、と答えてくれました。
それで、白ってどんな音かって聞くと、
こんな音だって答えてくれました。
「ボーッボーッ」 (SE:汽笛)
金色は?って聞くと、金色はこんな音でした。
「カンカンカン」 (SE:鍋)
鍋をたたく音なんだそうですね。
それで、非常に金色に似た色ですけど、
お月さんはどんな音をしているの?って聞くと
ドロドロの油の中に石を投げこむ音だ、って答えてくれました。
で、ぼくはますます興味をもって、
鏡はどんな色をしているのかな?って聞いてみました。
すると目の見えない子供たちは、
絹糸の切れる音だって答えてくれました。
「プツン」 (SE:絹糸)
もし人生がバラ色だとしたら、
それは目の見えない子供たちにとって
どんな音であらわすのか。
ぼくは、まぁ、考えこんでしまったわけです。
(Na)
ぼくたちは、いい音が大好きです。
ソニーカセットテープ
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