
精神障碍者と付き合うということ
こんにちは。心理士です。ヘッダーはヒモとの初デートで高円寺の終わっている中華料理屋さんに行った時の写真です。生ビールが180円で終日喫煙可能、めちゃくちゃ食べて飲んでも二人で4000円くらいの最高の店なのでみなさんもぜひ。
私たちはよく二人でツイキャスをしているんですが(聴いてね!)そこで新規の方が入ってくると必ずする挨拶があります。
”これは精神障碍者のヒモと心理カウンセラーの彼女のカップルキャスです”
漫才で言うところのつかみみたいなものですね。
ヒモがメインで抱えている疾患は双極性障害です。いわゆる躁鬱。この病気は気分の上がり下がりが尋常ではないのが特徴です。私は心理士なら誰でも知っているようなことを得意げにツイートしたりnoteにしたためたりしている心理士が大嫌いなので、病気や療法については興味のある方は詳しくは自分で調べてください。
うちのヒモの場合、上がっているときは朝五時に起きて延々しゃべり続けたり酔っ払いのおじさんを裸にして引きずり回して警察沙汰になったりします。暴れるヒモを横目に「アッ…私同居人でして…お手数おかけしてすみません…今後何かありましたら私の携帯までご連絡頂けますかね…申し訳ないです…」と警察にペコペコするのももう慣れてきました。
反対に下がっている時は、松屋の牛丼を食べた後に「牛さんをおいしく食べてあげられなかった…牛さんがかわいそう…死にたい…」と泣き出したりします。フリーフォールもびっくりの落ちっぷりです。
そんなヒモを見ていると、楽になってほしいとは思いますが、「治してあげたい」と思ったことは一度もありません。
私はヒモのセラピストではないからです。たまたま、私が好きになった男の子が精神障碍者で、ヒモが好きになった女が心理カウンセラーだった、それだけなんです。
この仕事をしていると、カップルでカウンセリングに来る患者さんも多くいます。そういう場合、多くは当事者よりパートナーの方が多弁で「どうしたら治りますか?」「どのように接するのが正解ですか?」と聞かれることも少なくありません。私が実際そういう場面でどのような対応をするのかはさておき、いつも思い出す言葉があります。
”愛するに値し、自分に愛を向けてくれる性愛期の対象を獲得し永久に所有するためにはこのようにすればよいということは一つもない。現実吟味を倦まずたゆまず片時も休まずにしていなければならない。ー たえざる努力が必要である。”
私が好きなバリントという心理学者の言葉です。簡単に言うと、
「こうすれば愛する人間とずっといっしょにいれますなんて都合の良い話はねーんだよ!どうやったら今お前の目の前にいるパートナーといい関係を築けるか常に考え続けろそのために努力しろ休むな!!!」
って感じですかね。パートナーとの関係に対するアドバイスって全てこれに帰結するんじゃはいかなって。
「頑張れって言っちゃだめ」「病気であることを責めないで」「優しく受け止めてあげて」etc…鬱病ひとつ取り上げても、こうしたアドバイスが最早一般的に広く知れていて、確かにそれはある程度有効なのかもしれませんが、そういうアドバイスを鵜呑みにすることって、インスタントじゃない?って私は思ってしまうんですよね。
精神障害の症状なんて、同じ障害でも十人いたら十人とも違います。健常者でもそうですよね。ある程度タイプに当てはめることはできるけど、同じ人間は一人もいません。
パートナーが精神障碍者だろうと、メンヘラだろうと、健常者だろうと、その人が少しでも心穏やかに生きられるように、日々考えてトライ&エラーを繰り返すのが愛情なんじゃないのかなあ。
そんなことを考えながら、今日も朝ごはんを用意して仕事をしつつ、猫を飼いたいヒモのために里親情報を漁っている次第です。誰か猫ください。