誰に頼まれたわけでもないのに
大学時代はフットサルサークルに入っていた。
よくある大学サークルよろしく、試合よりもコンパの方が活発だった気がする。
夏休みは合宿。
バスを手配してみんなで他府県に出かけ、2泊3日を過ごす。
学生の合宿となると予算も限られるため、安い合宿所に宿泊する。
1日目と2日目はフットサル、3日目は観光。
中でもメインは夜の懇親会だ。
初日の夕食後、広い体育館にみんなで座り込んで、缶ビールやスナック菓子を広げた。
時代は平成後期。
今とは違い、イッキ飲み文化の名残があった気がするが、我々は体育会系でもない軽いサークルなので、和気藹々と学生同士が交流していた。
飲まされたわけでもないのに、勝手に楽しくなってお酒が進んだわたしはすでにヘベレケだ。
同じ学年のぷらんちゃん(仮名)と二人で体育館のカーテンの奥に散策に行った。
そこでわたし達はあるものを発見した。
侍のヅラ。
額から頭頂部はハゲていてチョンマゲが結われた典型的な侍のヅラだ。
「なんで、なんで、こんなところにあるーーーん?」
なぜかは分からないが、我々の前に宿泊していた団体が余興で使用したものかもしれない。
わたしは迷わずヅラを被った。
酔っているので普段より笑いの沸点が何度も低い。
ついでに近くに転がっていたおもちゃの刀を構える。
もう息ができない。
怖いのは、オーディエンスはぷらんちゃんだけ、ということ。
これらは人知れず黒いカーテンの奥で行われた。
その頃他の学生達は侍ショーのことなどつゆ知らず、「彼氏おらんの?可愛いのに」などとお目当ての子を口説いていたのかもしれないのに。
翌日、わたしは相当な二日酔いで寝込んだ。
侍を憑依させるほど自ら飲み過ぎてしまった。
誰に頼まれたわけでもないのに。
社会人になって、オトナが板に付いてきたわたしは、あんなアホみたいな飲み方をすることはかなり稀だ。
自宅で一人、美味しいお酒を味わう。
冬は魚が美味しい。
お造りに山葵を多めに乗せる。
ツマはたっぷり、大葉で全てを包み込んで、醤油は角だけに。
これを一口で戴く。
山葵の量は多ければ多いほど良い。
鼻の奥がツーンとして、もうどうしようもなくなった時。
息を鼻から吸って口から吐く、鼻から吸って口から吐く。
「伊東家の食卓」で知った裏ワザだ。
もはや、裏ワザを発動させるほどでなければ満足できない。
ただ、たまにサプライズで効きすぎる山葵のことがある。
その時は、伊東家の裏ワザが焼け石に水。
涙を流しながら一人耐える。
これはもう罰ゲーム。
自ら罰を受けている。
誰に頼まれたわけでもないのに。
わたしは週に1回ぐらいのペースでエッセイを書いている。
慣用句などを使う場合、使い方が合っているかどうか自信がなく、調べたりする。
誤字脱字がないか、確認も必要だ。
「リリースは明後日やから、今日のうちに大枠は仕上げて・・」
日々頭の片隅にエッセイがある。
なお、エッセイを投稿することを「リリース」と呼ぶのは、シンガーのJUJUさんがカラオケに行くことを「フェス」と呼ぶことに影響されたものだ。
忙しい日常の中で、せっせせっせとエッセイをしたためる。
初リリースは2021年8月1日だった。
もう2年もエッセイを書いている。
誰に頼まれたわけでもないのに。
クセスゴエッセイは2周年を迎える。
何か記念に残ることをしたい。
これまでエッセイを面白がってくださった方へのお礼として。
いや、とにかく自分へのご褒美として。
また、これを機に多くの人にクセスゴエッセイを知ってもらいたい。
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わたしはクセスゴエッセイ2周年記念グッズを作った。
誰に頼まれたわけでもないのに。
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本作をもちまして、
誰に頼まれたわけでもない
#クセスゴエッセイ
season1 完結となります。
せっせとご愛読いただいた皆さま
本当にありがとうございました。
今後は広報活動に注力するため、
真の不定期更新となります。
またね〜
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