小さな声 ~ かんたんで、みじかいお話
月は少しの間、目を閉じました。
誰にも気づかれないように。
目を閉じるといろいろなことが分かりました。
町はずれを流れる小川のせせらぎ。
昼間、一生懸命に
お母さんのお手伝いをしていたあの子の寝息。
お母さんのほうはというと
あの子の頬をそっと撫でています。
月は小さな声で呟きました。
みんな、いつものようにしているのだろう。
だけど、自分はそれに気づかなかった。
日々は・・・。
そこまで言うと、月は言葉を止めて
ゆっくりと息を飲み込みました。
そして、町を一層やさしく照らしたのでした。
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