タンスの中の手紙
上半身はスーツ、おへそから下はパジャマ。
写ってないから気づかないだろう。
多くの方がWEB会議の時についやってしまいます。
このエピソードを聞くたびに、モデルの写真撮影に立ち会った時のことを思い出します。
撮影場所は人気ヘアデザイナーのショー&セミナー会場でした。
ショーの合間の限られた時間の中で、撮影は行なわれました。
照明のセッティングが終わり撮影開始。
カメラマンとやり取りをしながらモデルがポーズを取り始めます。
すると、その場の空気がすっと変わります。
モデルは目からポーズを取り始め、
瞬間的に目の奥にある感情や見えない場面を想像させてしまうのです。
もっと驚いたことがありました。
モデルが様々なポーズを取る中で指先の動きを微妙に変えていました。
私が「さすがプロだなぁ。少しの動きも気になるのかぁ」と感心しながら、
カメラの画面(デジカメなので)を見てみると・・・。
カメラに写っているのは胸から上だけで、指先は全く写っていないのです。
小津安二郎監督の映画作品を思い出します。
小津監督は茶の間にあるタンスの中の手紙まで詳細に書いていたそうです。
カメラには写らないのに。
自分を取り巻く環境は全てがつながっていて
自分はそれらの中のほんの一部しか見えていない、ということですね。