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広重浮世絵の世界⑪ 箱根

歌川広重「東海道五拾三次〈狂歌入東海道〉箱根」(草津市蔵)

大学駅伝でも知られ、東海道最大の難所と言われる「箱根八里」の上り坂の風景です。
現在の自動車道はづづら折りのカーブを何度も曲がりながら高度を上げていきますが、江戸時代の街道は徒歩を前提とした道であり、あまり回り道をせずに上っていくため、さらに急勾配になっていました。

この絵は、暗闇の道を照らす松明持ちに導かれた2挺の山駕籠が、石畳が敷かれた峠道を上っていく様子です。松明は坂道手前の立場(休憩所)で一般の旅人に向けても売られていたようです。
坂を上った先には、街道の通行人を取り調べる箱根関所があり、これを通過しなければ、さらに先(西側)にある箱根の宿場に入ることができません。関所の門限である「暮れ六つ」(季節により変動・午後6時前後)に間に合うよう急坂を上り行く一齣でしょうか。

次回は、まさかの「〇景色」三島宿を紹介します。