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物憂げなコーヒーの香り

撰石積記 voL.16 ~自分との対話~

堀江貴文氏 が動画の中でいっていたこと、と今の自分の話。そして、ひとはヒマになると余計なことばかり考える。


ヒトゴコチ

 また、ひとりの時間が戻ってきた。

 自分以外としゃべることがない。

 この環境を求めたつもりだった。

 それのなんと、退屈なことか。


 *****

 きのう、お客さんをお見送りした。

 月曜からわたしの業務に関連して、滞在してくれていた委託メーカーの担当者だ。正直、試験圃場の見栄えが良くなかったので、来てもらいたくはなかった。(一通りの説明後に、状況に理解をしてもらえた以降で、様々な情報交換ができた。)

 5人のお客さんが帰って、その瞬間は、「やれやれ…」とひと安心した気分だった。

 こうして、またひとりの時間が戻ってきたのだ。

 *****


未来への妄想


 基本的に空き時間では、プログラミングの勉強をしようと思っていた。そのための教材もある。ただ、ずっと集中してそれに没頭している能力が自分にはなかった。

 だから、ぼんやりと妄想を始めるのだ。

 ○○の考え、休むに似たり。とは、よく言ったものである。(実際、そんな感じだ。)


 この先どうしようか。

 今の仕事を続けて、成りあがってやろうか。

 もっと、副業で稼げるようになったほうが、いいんだろうか。



 考えるともなく、考える時間が流れていく。


「与えらえた環境を、最大限に楽しむこと」


 鬱々として過ごしていると、プログラミング学習や読書にも、熟んできた。脳みそと時間を満たすために、YouTube を開き、適当に動画を流した。そうして、おもむろに立ち上がり、コーヒーをいれる。

 しばらくして湯が沸いたころ、その背中に向けて、動画の中の堀江貴文氏が、こんな風に言葉をぶつけてきた。


 「与えられた環境の中で、最大限

  自分が楽しむことを考えればいいんだ。」


 彼はよく、こんなことを言う。

 「自分が楽しむ、…か」


移住者と話す


 最近会った人の中で、最も人生を楽しんでいるなと思ったのは、石垣島への移住者の人たちだ。

 業務で人手が必要になった際に、短期のアルバイトとして手伝ってもらった。昼ご飯を食べるときにいろいろ話を聞くと、面白い。それに、みんな仲がよさそうで、楽しそうだった。


 真っ黒に日に焼けた広島県出身のサーファーは、とにかく楽しそうだった。正直、そんなに稼ぎがあるわけではなさそうだった。その時々にアルバイトの仕事を引き受けながら生活している様子だった。

 自分の価値観では、それは無かった。

 定職について、それなりの収入のもとに、生活を築いていく。それが常道のはずだ。

 サーファーは、その道を進んでいない。

 それでも、人生が満たされていることが伝わってきた。


 好きなことをして、過ごす。

 これほど幸せな人生はない。



「一度しかない人生だから」


 よく聞くセリフだ。

 でも、本当にそれを思いながら生きていられる人が、どれほどいるだろうか。


 社会には本当に、しがらみが多い。

 自分の生きたいように生きられない仕組みが、たくさんある。

 教育、仕事、(法律)。


 それらがなければ、それはそれで不自由だ。でも、知らず知らずのうちに必要以上に縛らているんだろう。

 もし、生きていくための窮屈さを感じているなら、きっとそれが原因だ。


 そのシガラミを、感じない心情や、断ち切る勇気。

 そうしたものを持つ彼らにふれて。


 なんだか。

 羨ましさの中に

 少しの嫉妬が混ざった。



 そんなことを考えているうちに

 コーヒーができた。


 どうでもいいことを考え始めると

 時間ばかりが過ぎ去っていく。


 コーヒーはいつもと同じはずなのに

 なんだか、その時は少しだけ

 香りが強く、はなを突いた。


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