いつまでも終わらない花火をみつめる方法
家族が5泊6日の石垣滞在を終えて、帰路につきました、という話。
起床のとき
きのうは、最後に花火をした。
夕闇の中で、こどもらが手持ち花火を楽しんでいる。その様子がなんとも、得難いことのような気がした。
花火が燃え尽きるまでが、
なんだかやけに。
短く感じたものだ。
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出発の朝は、だいたいあわただしい。寝る前におおよその準備は済ませたつもりだったのだが…、朝はそもそもいそがしいところに、輪をかけて、荷物をまとめ、ごみを捨てて、身支度までしなければならない。
10時に宿をでても、飛行機の時間には間に合うはずなのだが…、あれよあれよという間に、時間が過ぎる。
序章あっての、物語。
2月15日に、石垣島に来てからというもの…。あわただしいばかりだった。
うまくいかない仕事を抱えながら、苦しみつつ。
”任せてしまえばあとは他人事” といわんばかりの、本土の役職者たちに対する苛立ちがつのり…。
「もう、勝手に帰ってしまおうか」と、まるで当然のことのようにそんな想像をしたものだった。
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それも今思えば、家族とゆっくり過ごす時間をより楽しむための、布石のようなものだった気がしてくる。
なんとも、楽しいものだ。家族で過ごす時間というのは。
いまやるべきことと、いましかできないこと
今回学んだことは、「いましかできないことの価値」だ。
最近よんだ「DIE WITH ZERO」にも書いてあったが、結局のところ、”今しかできない体験" がある。そして、その価値は思っている以上に大きかった。
本の中では、「人間は年をとると、お金を使わなくなる(衰えるから)。だから、いましかできないことはやっておこう」というようなことが書かれている。
この内容へは、けっこうその通りだな、と安易な共感を抱いた。
10年後に石垣島に来れば、その時に合った体験や気づきがあるだろう。でも、きょうこの瞬間出なければ気づけなかったこともあるはずだ。家にこもっていても、楽しいことはたくさんある。でも、ここに来たからこそ、わかることもある。
大切なのは、楽しもうと思うことだ。
子どもらが大きくなれば、なった分だけできることは増える。今回は石垣島だったが、今度はヨーロッパやアフリカにだって行けるようになるかもしれない。
果ては、宇宙旅行だったりするだろうか。
今回は、石垣島に連れてきてやれてよかった。
いままでとは違う体験をさせてやれた。飛行機に乗り、温かい空気に触れ、牛車に揺られ、水平線を眺め、海で泳ぎ、船でウミガメを探した。
次に来たときは、もっとマリンスポーツを楽しませてやりたい。
ストイックさもいいが…。
あとで楽しむため、
自分のココロを満たすために。
いろんなチャレンジをする考えの持ちようを、養えればいい。
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子どもらが大きくなったころには、どうなっているだろうか。
働かなくても生きていける時代がくるかもしれないらしい。
もし、そうなったとして。
どうする。
遊ぶしかないじゃないか。
人生を楽しむ方法を見つけるための体験を
させてやりたいと思う。
去っていく機影をみつめながら
11時15分発の那覇行きの便で、帰っていった。
離陸していくANA機を展望から見届けながら。
「またしばらく、ひとり生活か…」
と鬱々とした気分がこみ上げてきた。
まぁ、それ以上に楽しんだ。
それで構わないのだ。
昨夜の花火を思い出す。
夕闇の中で花火に照らされた、子どもらの楽しそうな表情。
花火は終わっても、思い出の灯は
もうしばらくは、消えそうにない。
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