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遠浅の海の向こう側を見にいく方法

やってみれば意外とできることもある、という、干潮の海をどんどん進んでいった、話

ちょっとの空白を使って。

 きのう、家族が岡山に帰っていった。家族が乗った飛行機を展望から見送ると、途端に、ちょっとげんなりした。またひとりの生活が始まるのかと思うと、いくらか気落ちせずにはいられない。

 と、そうとばかりもいっては言われない。次のアクションを完遂しなければっ!!

 宿泊していたAirbnb で借りた民泊を引き払い、昨夜は米原海岸や青の洞窟に近い宿 にした。そこにしたのは、理由がある。

 先に泊まっていたウィークリーマンションにも近い場所にある。米原海岸にも歩いていくことができる。

 そこで、引き潮の海を歩いて渡り、沖のサンゴ礁まで行ってみたかったのだ。

夕方の引き潮を狙う

 米原海岸には、以前に近くのウィークリーマンションに泊まっていた時に、何度か訪れた。(何度かというよりは、毎日のようにだから、20回くらいだろうか。)

 その時に思ったことがあった。

 『干潮を狙えば、沖のサンゴ礁まで歩いて行けそうだな。』

 以前、干潮の時に海岸を訪れた際、ちょっと珍しい光景をみた。

 波打ち際から30mほどいったあたりでから、ところどころ砂底が顔を出しているのをみた。その様子をみて、砂浜から30mほどの間の少し水が深くなっているところを歩ければ、その先はだいぶん遠くまで歩いて行けそうだった。

 その時は濡れては困る服装だったのでいけなかったが、もう一度チャンスをみて、行ってみたいと思ったのだ。


 ただ、チャンスはなかなか訪れない。

 知らなかったのだが…、潮の満ち引きの時間は日によって変わる。干潮時間、満潮時間が気象庁から発表されており、それによると、1日ごとに20~40分程度ずつずれていくのだ。しかも、干潮であれば、毎回同じ位置まで潮が引くのかというと、そうでもない。そこまで強く潮が引かないこともあるのだ。

 昨日は15:13 に潮位"7"になる予報だった。”7” はなかなかない低さだった。この機会は逃したくなかった。

 だから、もう一度、米原海岸の近くに来たかったのだ。

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だれでも、どこへだって行ける

 夕方4時過ぎに海岸を訪れた。

 砂浜が広く、海が狭くなった。


 よし、行こう。

 意を決して、沖を目指して歩き始めた。


 少し深くなっている部分では半ズボンが濡れてしまったが、気にしない。バシャバシャと歩いていくと、気が付いたことがあった。

 沖の海面から顔をのぞかせいていた部分の多くは、サンゴ礁だと思っていたのだが…実際はアマモに覆われた砂地だった。

 岩場になっていて、もっと難儀するのだと思っていたのだが…、おかげで思った以上に歩きやすく、サクサクと進んでいけた。

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 いってみないと、わからないことがある。

 それはなんだってそうだ。

 やってみて初めて分かることがある。

 やってみた先で、わかればいい。

 とりあえず、やってみれば、そこから始まる物語がある。


 200mほど沖にまであるいてくると、様子が変わってきた。

 砂地が終わり、先にはサンゴがあった。

 サンゴの上に乗ると、サンゴがバキバキと音を立てて壊れてしまう。そこからはかなり慎重にすすんだ。そしてサンゴが終わる場所が来た。

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 成果は十分だった。

 振り返ると、砂浜がずいぶんと遠くに見えた。


 あぁ、人生ってこんなものなのかな。

 と、そんな適当なことを思い浮かべて。

 少し笑った。


 夕方の心地よい海の風が

 波の音を連れてきた。


 祝福されているようで

 なんだか照れ臭かった。


撰石積記 voL.42 ~どこへでも行ける~

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