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カフカ

今日は何もしないで寝ていようと思ったが、
寝っ転がっていると
とてつもなく退屈で時間がもったいないと思った。
で……。
『絶望名人・カフカの人生論』(頭木弘樹・新潮文庫)を
開いた。

カフカの『変身』は大学の授業で受けたが
さっぱりわからないまま終わった。
人間が一匹の虫に変身してしまう話だ。
それがどんな虫なのか、教師や友人とさんざん議論した。
結局、結論は出なかったが、
私の中では大きな毛虫のような姿だった。

わけのわからない小説だと思ったが、
カフカの名は強烈に記憶に残っていた。

80に手が届く今になって、カフカの何かが分かりたくて、
この本を買ったのだと思う。

「生きることは、たえず脇道にそれていくことだ。本当はどこかに向かうはずだったのか、振り返ってみることさえ許されない___断片」

若いころ読んでもわからなかっただろうが、今読むと、なんとなくわかるような気がする。

覚めた珈琲を飲みながら思った。
振り返ると、私は、ずっと脇道にそれていたような気がする……。

                          終わり





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