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枕草子・星は

「すばる」と言い切る清少納言。後に「彦星、夕づつ」と続くが、なんといっても「すばる」だと断定している。絶対に譲れないと。(236段)

かつて星は「滅び」のイメージだったとか。手工業や細工物を専らとする「物部」(もののべ・軍事の物部氏ではない)が滅ぼされ、首飾りや耳飾りを作る技術が消えた。で、平安時代の人は装飾品を作る技術がなくて耳輪や首飾りをつけなくなったとか。
その「物部」の象徴が「星」だった。

学術的には認められていない説だが、なんとなく切なくて、ロマンティック。そんなこともあっただろうと空想が広がる。記録に残されていない「言い伝え」に案外真実はあるのかも。

私は「すばる」を見たことがない。見たのかも知れないが、それが「すばる」と知らなかっただけかも知れない。

外来語かと思いきや、れっきとした和語。漢字では「昴」あるいは「須波流」。またイメージが違ってくる。

ハワイの天文台は日本人が設計したもので、名前は「スバル」。設計者が枕草子を好きでこの名にしたと何かの本で目にした。ほとんど「言い伝え」だが、ステキなエピソードだと思う。(間違っていたらごめんなさい)

「昴」の語源は「統べる(すべる)」。「統一する」という意味だ。牡牛座に属する星団で、牡牛座の首領という意味なのだろうか。

いくつかの星が集まって一つに見えるので、古来、「王者の象徴」とみなされていたという。清少納言はこの星に中宮定子率いる「登花殿の女房たち」を重ねていたのではないか。

天文学の知識はまったくないので、すべて受け売りの知識。でも、「星はすばる」と断言した作者の気概と自信が私は好き。これぐらい自信をもって何かを断定してみたい!

いつか、望遠鏡で「すばる」を見てみたいなあ……。
                                了

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