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お腹すいたよ~にゃん
年末年始も関係なし。朝雨戸を開けると、にゃーん。夜雨戸を閉めると、にゃーん。
シロ、あなたは人間でいうと5歳ぐらい?育ち盛りの男の子。食うわ、食うわ。母親の和子より一回り大きくなっちゃって。
和子は朝夕、ご飯を食べに来てシロとあいさつを交わしているが、夜はどこかに行く。自分の子供に最高の餌場を譲って、自分はどこか別の所をねぐらにしているようだ。
子供にどう言い聞かせたのだろう。シロは母猫を追っていかない。後姿を見送ると、大人しくウッドデッキの隅の段ボール箱に入っている。ネコ同士通じ合うコミュニケーションがあるようだ。言葉で?それとも動作だろうか。
母猫の和子はめっきり老け込んだ。ベロをしまい忘れているよ!何歳ぐらいだろう。人間でいうと40歳近い?。
シロはとっても穏やかでお人よし。自分のキャットフードをどこかのチビちゃんノラに食べられても黙って見ている。それどころか、じゃれついているのだ。
いつぞや、ノラ一家がうちの縁側で宴会を開いていた。それを一歩下がって黙って見ているシロ。
私が、コラ―と手を上げて追い払う。このチビノラ一家は隣の隣の人が餌をやっているみたい。そっちで食べなさい!
ある日、ギャーと断末魔の叫び声。 飛び出して見ると、和子がチビノラを木の上に追い詰めていた。
チビは木と物置の間に逆さまに引っ掛かって泣き叫んでいる。和子はチビに飛びついた。
ギャオー、ギャオー、
チビは悲鳴をあげて逆さまのままずり落ちる。和子は下で凄まじい形相で唸っている。
チビは木と物置の間を滑り地面に落ちた。そして身をひるがえし矢のように逃走。怒りの雄叫びを上げながら和子が追いかける。
シロはどこ?
見るとウッドデッキの隅で二匹の闘いを呆然と見てる。
ほどなく和子が返ってきた。尻尾が綿アメみたいに膨れている。和子はものすごい形相でシロに近づいた。
和子は怒りながらシロに何か言っていたが、やがて許したようだ。シロの口にチュチュっと口づけをした。私は二人にキャットフードを出した。
お人よしで弱虫のシロ。あなたの優しさ、穏やかさが好き。
子どもの餌場を守るために死に物狂いで戦った和子、わたしはあなたの強さが好き。