源氏・トークタイム
大河ドラマが『紫式部』になったということで紫式部に関する講演を依頼されるようになりました。
26日は、『埼玉県建築士事務所協会』という、私にはこれまで縁のなかった分野の方の依頼で源氏講演。
カルチャースクールや図書館、公民館の場合は受講者のイメージがつかみやすいのですが、さて、建築士の方というのは、源氏物語や紫式部にどのような関心があるのかイメージがつかめず、どの程度のレベルの授業をしたらいいのか前日まで悶々!
これも一つの異文化交流、楽しいトークタイムだと思って、出たとこ勝負でお喋りしよう~
大きな複合施設の10階会議室に入ると、いつもとは違った光景!
全員男性……。
いつもほぼ全員高齢女性という人たちを前にしていたので、違う世界に飛び込んだ感じ!
「全員、オジサンです」と聞いていましたが、私の目にはけっこう若い人が多かった!いつもの受講生の場合、会場はカラフルですが、今回は白いワイシャツと紺のスーツが多くて、なんとなく新鮮な感じ。
違う光景も良いものだ、と思った次第です
男性講師は、多分、若い女性が多いと張り切るでしょうし、女性講師は若い男性が多いとちょっと嬉しい……。
人間て、ま、そんなものです~
話し始めてから30分ぐらい。あまりに静かな場内に私は少し心配に……。
こんな話面白くないのかな。退屈してるのかな、と。
退屈させないように持ってきた大判の『源氏物語絵巻開設』をもって、見せて歩きました。
最後の質問タイム、面白い質問が出ました。紹介いたしますと、
「源氏物語は『死』を連ねているとのことですが、それは死者が死者の目で現世を見ていることですか」
「いいえ。物語では光源氏を取り巻く現世の人が愛する人に死別する悲しみ。つまり、生きている人から見た『死』です」
「当時の人は死をどのように見ていたのでしょうか」
「多分、死後、極楽浄土に行くことだけを願っていますから、あまり死を恐れてはいなかったのかも知れません」
「当時はどんな容貌の男性がイケメンだったのですか」
「貴族の男性にとって美貌はものすごく大切です。色白でなよやかで
女のようなルックスが、男性の美貌の条件です」
「筋肉質は?」
「マッチョな体格は下級の肉体労働者と見なされました。牛車を引いたり、材木を運んだり。貴族の男性は、光源氏もそうですが、ふっくらした色白顔で、なよなよやわやわなマシュマロ体形が一番もてました~」
ここで初めて笑い声が上がり、ほっとしました~
帰りにお土産に和菓子を頂き、車で自宅近くまで送ってもらいました。
空に一つ、二つ、淡い星の見えるころ、窓からの風が秋の気配をほのかに漂わせていた夕暮れでした。
いつもと違う世界の人と出会うのも楽しいものですね。