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装画を担当させていただいた「藍を継ぐ海」が直木賞を受賞されました!

「月まで三キロ」「八月の銀の雪」に引き続き装画を担当させていただいた伊与原新さんが直木賞をご受賞されました!
約6年前に初めて単行本のご依頼を受けてから、長らくお仕事を継続していただいたので、本当に嬉しい。。。!
伊与原さんは、私の地元の富山大学で先生をされていたり、新田次郎文学賞に呼んでいただいたり、個展にも何度か足を運んでいただいたのでどこか親戚のようで喜びもひとしおです。

記者会見の最後に、「担当編集のお二人が泣いてくださった」と話されていて、なんて良い関係性だったんだろうと私も泣きかけました。
本を書くのは作家さんですが、周囲にはたくさんの方が関わっています。
例えば、営業、編集者、校正・校閲者、デザイナー、イラストレーター、印刷会社、 取次業者など。参考文献がある場合は、その本や取材された人々。
装画を描いた私もその一人ですが、伊与原さんはいつもご丁寧な感想をメールでくださいました。
特にこの言葉がずっと心に残っています。

「小説の世界を100%以上にすくいとっていただいた絵で、いつまでも見ていられます。本当に気に入っています。」

この絵描き冥利に尽きる一言は、今でも心の支えになっていて、装画を描く度に思い出します。

きっと同じように、他の方にもあたたかい眼差しを向けられてきたのではないでしょうか。

本の文章や、周囲の空気を作っているのが伊与原さんで、今まで15年間やってこられた小説家人生が地続きで直木賞を取られたのだなぁと想像しました。

というのも、ドラマ「宙わたる教室」を見ていて思ったのです。

科学への熱いを筆頭に、プロ、アマチュア関係なく定時制高校に通う方々への対等な眼差し、レビューやXでの皆さんの感想を眺めていて、
まさに、伊与原さんがこの優しい世界を作っている張本人だ。。。と!
このドラマの登場人物や、読者、書店員さん、伊与原さんの周りはなんて優しい人に溢れているんだと。
エンタメのドラマのように、現実はうまくいかないのが当たり前で、
不条理を描く作品も支持されがちなのですが、
私は希望を持つ補助線としてエンタメも必要だと思います。

今まで主人公になりづらかった、スルーされてきた人々に光を当てることで、同じような多くの人が物語と一緒に希望をもつ流れを作っている。
心は放っておいたらすぐに暗くなるから、明るい物語はやはり必要なのだと思います。
伊与原さんの作品の素敵なところは、私も含め多くの陽の光の当たらない人に優しい眼差しを向けているところ。
そして、地球や宇宙という壮大なスケールに引っ張り上げてくれるところです。
人間も他の生物もみんな地球上の仲間なんだという優しい世界に入っていける。
科学というエビデンスをもって、信じられる希望を与えてくれるんです。

これは、研究者をされていた伊与原さんだからこそできる小説の創造の仕方だなと改めて思いました。


会見で、綾辻行人さんに「書きつづけていれば必ず光が当たるときが来るから」と言われて執筆活動の支えになったとおっしゃっていましたが、
同じように私も、伊与原さんに「小説の世界を100%以上にすくいとっていただいた」と言われて、今でも心の支えになっています。
いつか私も誰かを励ますことができるように、あたたかい世界を作っていきたいなと思わせる素晴らしい記者会見でした。

多くの絵描きの中から私を見つけ出してくれた出版社の方に感謝です。
そして伊与原さんが受賞されて本当に嬉しい(⌒▽⌒)





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