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「草の葉メソッド」は英語教育を根源から変革していく。

ロパートアンリ1

生徒たちに水泳を教えるとき、教師はどのような指導をするのだろうか。教室ででれでれとチョークを握って、水泳の泳ぎ方の授業をするのだろうか。平泳ぎの泳ぎ方、クロールの泳ぎ方、バタフライの泳ぎ方、背泳の泳ぎ方を、えんえんと三年間も教室で授業をするのだろうか。おまけにペーパーテストまでして、正しい言葉を選びだせとか、カッコのなかに正しい言葉を書き込めてとかいったことをやるのだろうか。日本の英語教育とはまさにこんな馬鹿げたことをやっているのだ。プールがそこにあるのに、一度もプールに入れることもせずに、教室でえんえんとクソ文法を教えている。生徒たちを泳げるようにするには、とにかく生徒たちをプールの中に投げ込むことではないのか。

 泳げない生徒たちは水が怖い。しかしプールの中に投げ込まれたのだ。もはや懸命に泳ぐ以外にない。頭を水中に沈め、腕で水をかき、脚で水をけって、少しでも前へ前へと進んでいく。息の継ぎ方ができないからたちまち行き詰る。しかしとにかくプールの中でひたすら独力で泳ぐトレーニングを続けていく。そんなトレーニングを繰り返し続けることによって、息継ぎができるようになり、泳げる距離が五メートル、六メートルと伸びていく。人はそういう地道なトレーニングを繰り返して、はじめて泳ぐことができていく。

 水泳教室に英語教育をたとえたが、英語のレッスンもまったく同じなのだ。とにかく話せ、単語を並べるだけでいい、どんなに文法的に間違っていてもかまわない、そんなことは全然気にするな、とにかく英語を話さなければ溺れてしまうのだぞと。「草の葉メソッド」はそう言って生徒たちを励ますメソッドである。

 人間が言葉を獲得していくのは、子供たちを見ればよくわかる。子供たちは言葉を発する。体のなかから湧き上がった言葉をどんどん発する。話したいことを話す。叫びたいこと、苦しいこと、喜んでいることを懸命に話す。圧倒的な量の言葉を話す。その言葉が間違っていようがいまいがとにかく話していく。人間はこうして言葉を獲得していく。話すという行為、表現するという行為によって、その言葉が自分の言葉になっていくのだ。

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対話編
──そうすると、《草の葉メソッド》の授業って、まず机を並べ替えることから始めることになるわけだ。
──そうよ。生徒たちが一対一で対面できるようにする。そしてまずそれぞれがそらんじてきたテキストの英語を互いに発表する。
──しかし毎時間毎時間わたされるテキストだけど、二十行、三十行にも及ぶ日本語を英語にするなんて大変だな。こんなことできるのかな。
──どんな長文の日本語も、翻訳ソフトは一瞬で英語に転換してくれる。
──グーグルの翻訳ソフトは、すごいね、ものすごく進化している。かなりの正確度で英文に翻訳されてくる。

──でもまだまだおバカさんだから、息の長い長文や複文になると、とんでもない英語に転換されてくるわね。だから生徒たちは、一行一行を正確に翻訳されやすい日本語に書き換えて打ち込んでいかなければならない。
──一行二行ならわけないことだけど、これが二十行三十行だから、大変な作業になるね。
──でもこの作業がゲームをするように面白くなってくる。だって新しい英語がどんどんつくれるのよ。この作業にはまった生徒は、英語の力が飛躍的にのびていく。
──それで、長時間かけて、テキストの全文が翻訳にされた。そしてその全文を暗記するというこれまた大変な作業っていうか課題が待っている。
──それが《草の葉メソッド》のもう一つの心臓でありエンジンよね。翻訳ソフトはその英文を読み上げてくれるから、それを何度も再生したりして、その英文を完全にそらんじる。

──完全にそらんじるって簡単にいうけど、それって、宿題の限界、生徒の限界を超えているんじゃないのか。
──そんなことない。このトレーニングを積んでいくと、一時間もあれば完全にそらんじられるようになる。早い子になると三十分もあればすらすら言えるものよ。
──それで、その英文を互いに発表したあとに、フリースピーチになるわけか。
──そう。どんなことを話してもいいの。好きな食べ物はなにとか、どの先生が好きとか、どの先生がきらいとか、もうそれは彼ら彼女たちが日常話していることを、英語で話していくの。

──ちょっと待ってくれよ。イメージトレーニングするけど、もしぼくがその授業を取り入れてやったら、日本語禁止の生徒たちの英会話って一分と続かないと思うけど。
──そうでしょう。日本の英語教育はそんなトレーニングを一度もさせてないもの。《草の葉メソッド》のすごいところは、中学一年生では十分間、英語だけで会話できるようになる。中学二年生になると二十分間、英語だけで会話できるようになる。中学三年生になると三十分間、英語だけで会話できるようになる。
──ちょっと待ってくれよ。そんな奇跡を起こすようなことができるのかよ。

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「草の葉メソッド」のレッスンは、まずランナー《学習者》がテキストの日本文を、翻訳ソフトを作動して自分の英文をつくる。その英文を完璧にそらんじて、レッスンに臨む。レッスンは一対一の対話で展開される。対話者と向き合ったランナーは、まず課題で出された英文を交互に発表していく。そしてテキストの対話編を基本にして(テキスト通りではなく対話編に記載されているような話題をとりいれて)、対話者と自由に英語で対話をしていく。もちろんこのレッスンは日本語禁止である。

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「草の葉メソッド読本──英語を自由に話せる民族にするためのテキスト」は《草の葉ライブラリー》より刊行。

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