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弥助について
弥助という名前は歴史の教科書では余り知られることがなかった存在だが、ここ最近ではよくネットで上がるようになって来た。
アサシンクリードシリーズの最新作にその名前が出て来る弥助、戦国時代に織田信長に仕えていた今のモザンビーク辺りから来た黒人だというのである。
なぜ南東アフリカの黒人が東の果ての黄金の国ジパングまでやって来たのかは不明である。
信長はその肌の色を見て風呂に入れて洗えば落ちると思っていたらしいのである。
本能寺の変までいたらしいが一緒に死んだ訳でもなさそうである。明智光秀に見逃して貰ったようで、侍とは見做されていなかったらしい。
その後どうなったかは分からないが日本を出たらしい。
単なる従者に過ぎない人物だが歴史書に書かれているくらいなので物珍しかったのだろうと思われる。
それでも主役の信長と比べて脇役なので弥助に関することは余り書かれることがない。
何か既視感がある。
邪馬台国の女王卑弥呼である。
以前、天照大神は卑弥呼であるとnoteに書いたが、史料(資料)が少ないというのは主役に比べれば「どうでもよい」ということくらい頭に入れるべきである。
主役は晋の正統性で過去三国に分かれていたという事象を説明するに辺り、北東部の勢力がなんだか東の海の果ての国と交流があったようであると記録に残っていただけである。
卑弥呼が低気圧による頭痛持ちだったから天気を占えたみたいな「見識」がSNS上でなされていたがこんなのは「余計」なことだろう。
頭痛持ちだとしてもそれが天気に関わっていたかどうか分からないのである。
卑弥呼は長生きだったので普通に政治的見識も持ち合わせていただけじゃないかと思われるだけである。
原始社会は祭政一致のシャーマニズムなので協調性の取れるカリスマがいればそれだけで治まる。
卑弥呼の宗族がどこからやって来たのかは不明であるがここでは取り上げる必要もない。
卑弥呼に関する史料は魏志倭人伝しかないのでそれ以上を論ずることは出来ない。
弥助も載っている史料のこと以上を探ることは出来ない。
背景を探ることは卑弥呼と同様それは出来るのだが、弥助(卑弥呼)そのものを断定することは出来ないのである。
何故こんなに問題になっているかと言えば、弥助がどうやら奴隷貿易の被害者らしいということになっているのである。
大航海時代(大発見時代)によってアフリカから沢山の奴隷が連れて来られたのは歴史的な事実であることは論を俟たない。
弥助もポルトガルの奴隷商人によって連れて来られたのは間違いないだろう。
当時のポルトガルはイスパニアと共に世界を分割するみたいな傲慢さを持っていたが、アフリカだけでなくインドの港、東南アジア、中国の港など持っていたのでそのままマルコポーロが伝えた黄金の国へ行ける機会を窺っていたのだろう。
戦国時代に齎された文物が多く、ポルトガル語由来のものも少なくはなかった。
南蛮貿易で堺の港までやって来たので宣教師や商人だけでなく黒人の従者まで来ていたのは珍しくもなかった筈である。
その中に弥助も混じっていたのだろう。
弥助は信長が名付けたらしいが、元々ヨセフとかそう言った名前らしくて日本名に言い改めさせたとも言われる。
モザンビークまでイスラム教の影響があったとも言われるのでアラビア語っぽい名前もつけられていた可能性もありそうだが飽くまでも推測や与太話の域である。
推測は沢山出来るし、トンデモだって自由である。
分かっていることは、弥助には給料も刀も住まいも与えられていたようである。
それで弥助は侍だと結論付ける学者もいるのだが、学者だから正確なのだとも言える訳でもない。
学者も批判に晒されることは当たり前だし、学者であってもトンデモを開陳することさえある。
身分制度は江戸時代に確立されるので戦国時代の身分制度とも違うだろう。
弥助に名字はない。
名字がなくても侍(武士)だと言えても、はっきりと分離されるものでもないので百姓を徴兵して足軽みたいのにすることだってあったという。
そもそも戦国時代の農民も刀や銃を持っていたのだし、その後の秀吉による検地と刀狩で兵農分離を進めることで身分が分かれることになるのは歴史の授業で学んで来たことである。
農民だから名字持たないのだと言っても、今年七月に流通した新紙幣の渋沢栄一も農民出身である。
農民も商人もピンキリでそれこそ奴隷的な身分を持つものもいれば士族よりも教養のある農民(商人)もいたりと必ずしもきっちりと分離できるものでもなかったのは歴史研究に於ける成果の一つである。
さて、それで弥助はどうなのかと言えば侍といえばそうなのだろうし、単なる従者に過ぎなかったと言えばそうである。
家は持てても土地は持ってないからやっぱり今で言うところのサラリーマンみたいなものだろう。
昨今の流行りのなろう系や異世界転生ものならば弥助こそそれに該当するのだろう。
👨🏿🦱「奴隷だった僕が黄金の国で一国一城の主になるまで」
というタイトル辺りで創作くらいは作られるだろう。
弥助の待遇は良かったのではと思われる。
物珍しいだけでなくかなりの働き者ということは分かっているらしい。
しかし信長はどうも発達障碍を抱えていたらしくて周囲の人間も扱いに困っていたと言うことらしいのである。
これも文献からしてしか信長の性格を知ることが出来ないので飽くまで推測の域を出ない。
人の名前も覚えられないらしくて自分が勝手につけた渾名で呼んでいたと言うことになる。
秀吉のことをはげねずみと呼び、光秀のことをキンカ頭と呼び、利家のことを犬と呼んでいたから今で言う人権の概念なんてないのも当然である。
今の学校教育では人のことを渾名で呼んではいけませんと教えているそうである。虐めを増長させるらしいのだが、授業中だけで家に帰る頃には渾名で呼んでるに決まっている。
尤も戦国時代と雖も官職名や役職名などで呼ぶ事が殆どだが、発達障碍を抱えた(とされる)信長が天下統一まで生き残れたのは奇蹟ではないのかと思える。
発達障碍は平時故に生き辛さを抱えたりするので、もしかしたら乱世では生き生きと伸び伸びとしていたのではないかと寧ろ思える。
秀吉も片方の指6本づつあったらしくて今で言うところの障碍を抱えていた可能性もあるし、伊達政宗も片目が見えない障碍者だし、大谷吉継も皮膚病を患っていたとされる。
乱世だし戦国時代なので五体満足でいる訳でもないし寧ろ勲章みたいなものだろう。
戦後傷痍軍人は街角で物乞いをしていたこともあるが平和になると厄介者になるのは何処も同じだろう。
故に、今の人権や今の感覚で物事を断定するのは「間違っている」のだが、これを先ず排除しないと凡ゆるものが歪んで見えることになってしまう。
その、今の感覚即ちポリティカル・コレクトネス(ポリコレ)で論じられているのが先に挙げた最新作アサシンクリードシャドウということらしいのである。
この作品はトレーラーでゲーム内の映像が公開されたのだが中身はトンデモジャパニーズで戦国時代と雖も日本の描写としては有り得ないくらいツッコミどころが多かったようである。
シリーズ通して史実に基づいているから歴史教育の参考になるとされていたのだが、在野の日本人からツッコミが入るのだから日本人のリテラシー、引いては学校教育が成功している何よりの裏付けがなされているのだと思う。
トンデモジャパニーズでも別に構わないのだろう。
戦国武将が美少女化したり本多忠勝がロボットみたいになってたりとゲームはやりたい放題なのだが背景までは弄らない基本的なところは抑えていたりする。
ただ、そのゲームの背景がインタビューなどの話を通すと、先に戻るが「日本も奴隷貿易を行っていた」という解釈に陥ってしまうのである。
ゲームの製作者らがそのような意識を持っていたのか、それともゲームを作る上で参考にした日本のスペシャリスト(専門家)の見解なのか、この際置いとくことにするが何れにしても日本にとっては不名誉なこと変わりはない。
日本の研究者がウィキペディアに弥助のことをせっせと編集していたらしくてそれが明るみになるとアカウントを停止してしまったようである。
日本人が日本語しか喋れないから外国語の解釈が世界中で罷り通ってしまっている原因にもなっているようである。
ゲーム製作者も日本語を知らないので外国語で書かれたデータを参考にするしかなく結果的にトンデモ描写になってしまったのではないかと思われる。
日本語は漢字二千文字に加えて仮名文字と大小アルファベットもあるのでとてもローマ字で過ごした外国人にとってハードルの高いものとなっているに違いない。
嘗てGHQが日本語をローマ字だけにしようとする試みをしたのだが、成績に差が出てしまい断念せざるを得なくなったことがあるのでGoogleの自動翻訳が出るまで長い間文化や歴史は日本語の壁に包まれたものだったのだろう。
とは言っても、そこまで興味あるものでもないので結局彼らの新たに作ったスコープで覗いた世界観で世の中を判断していくのだろうと思う。
傲慢かと思うが、結局言葉の壁が案外厚くそして高かったのである。
世界に向けて発信していくしかないのだろう。
正直、日本も奴隷貿易を行っていたというのは「トンデモ」でしかない。
結論も何も他の港で黒人が多くいても取引売買していたという事実が存在しないし、信長が弥助を引き取ったからと言ってそれが奴隷貿易だと言えやしない。
丸で慰安婦騒動である。
事実が掴めないから史料を消し去ったのだと言っても他の外国の史料でも日本で奴隷貿易を行っていたという事実もないのである。
悪魔の証明ならなんだって言える。
詰まり論ずるに値しない。
世界中で繋がっているので塗り固められる寸前だったと言える。
別に人道的に道徳的だからしなかったとかそういうのではなく、黒人奴隷貿易をやっていなかったという事実くらいは持っていても良いだろう。