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手抜き介護 182 ティラミス
糖尿病の父も安心の糖質オフケーキをお土産に、実家へ行った。ソファに横になっていた父の顔が、随分げっそりして見える。3年くらい前、血圧がひどく下がったとき以来の青白さ。でも本人としては、特に変わりないらしい。母は入浴中だった。
お金やかばんの件のその後を兄に訊くと、見つかってはいないようだが不満の矛先はどんどん変わっているという。兄にも嫌味を言いだし、「〇〇(ウチの名字)家に騙された。さんざん働かせられた」と父に訴えていると。
結婚したころまで遡り、恨みを募らせていることになる。振り返れば、義母もそうだった。辛かった過去の話を繰り返し、それで少しは気が晴れるならと聞いていたけど、何も変わらない。スッキリすることは永遠になく、救われない。
お風呂上がりの母は、「気圧のせいか、調子が悪い。リウマチがあちこち痛む」と表情をこわばらせた。ああそうと言いながら、ショートケーキとティラミスを見せ「どっちが良い?」と訊いたら、「ティラミス」と即答。そんな単語、ちゃんと覚えてるんだなあ。さすが女子。