手抜き介護 94 歩ける気がしない
1週間ぶりに実家に行ったら、2人とも何だかぐったりしていた。母はこの間2回転倒したという。そのたびに父が玄関先まで母を引きずり、たたきの段差を利用して起き上がらせていたとのこと。「もう、歩ける気がしない」と母。歩行器を使っているのは前と変わらないが、本人的には歩行器なしで歩けるようになる望みを持っていたのだと思う。
「やっぱり老人ホームに入ろうかな」と母がつぶやく。以前は父が一緒じゃないと嫌だと言っていたが、一人でも仕方ないと思い始めたようだ。ただ、父一人が家に残って生活するのも無理だという。私も、父の一人暮らしはお風呂入らず洗濯せず、大量のコバエとの同居になる想像がつく。
父は父で、母を引きずったときの体力消耗からなかなか回復しないらしい。でも自分の面倒くらい自分でみられるという意識がある。母が施設に行ったらまた私が滞在することも出来るけど、去年と違って次の見通しが立たないのは悩ましい。
問題先送りのまま、限界が近づいている実感がある。今は2人とも、我慢比べのよう。この均衡を破るのは、体調の変化か、または思わぬアクシデントか。1年後の今ごろを、そっと覗いてみたい。そしたらそれに向けて、今から準備できるのだけど。