手抜き介護 142 イチョウと老人
いつものスーパーから自宅に帰る途中に、イチョウの並木道がある。通りを挟んで西側はすっかり黄色になり葉っぱがどんどん散っているのに、陽当たりが違う東側は緑のまま。不自然なくらいのコントラストを見せている。でもこの季節、やっぱりキレイだなあと眺めていたら、遠い向こうに父らしい人影が見えた。
期日前投票を終えての、帰り道だ。後ろ姿が、少し右にゆがんでいる。ちょっと歩いては立ち止まり、また歩き出しては立ち止まりながら、少しずつ家に近づいていく。足取りのおぼつかない老人の背中に、ちらちら降りかかる黄色いイチョウ。このもの寂しさは、何かの演出?
あっという間にすぐ後ろまで追いついたのだけど、何となく2mくらいの距離を保ってついていった。数えてみると、20~30歩ごとにひと休憩をはさんでいる。こんな感じで本来の投票会場に行こうと思ったら、1時間はかかりそうだ。
かなり疲れているのではと思うけど、帰宅後は午後のデイに向けて髭剃りを始めた。髭をゴミ箱に捨てようとしゃがんだところでバランスを崩し、しりもちをつく。やっぱり相当疲れてるよね。でもあの人、「痛い」とか「疲れた」とか言わないんだよなあ。
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