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手抜き介護 156 我慢比べ

実家のキッチンで夕食の用意をしていたら、リビングから物が落ちる大きな音が聞こえた。見ると、食卓テーブルの下にご飯がぶちまけられていて、内釜が転がっている。母が自分のご飯をよそった後、残量を確かめようと釜を持ち上げ、落としたらしい。

小さい声で「痛い。。。痛い」と言っている。「親指の上に落ちた。骨折したかもしれない」。椅子に座らせ足を見ようとしたら、「いいから、先にそっちやって」と床のご飯を指した。こんな時でも、母は自分のイメージ通りにコトが進まないと気が済まない。この場合、ホネが最優先と思うけど、母にとっては片づけが大事。

テーブル下に這いつくばって床を拭きとっていたら、「アンタがいるときで良かった」と言われた。確かに、父がこんな作業するのは、ちょっと無理。次のヘルパーさんが来るまで、べたべたのままでいるしかない。

母の爪は上向きに変形していて、そこに当たったらしく出血していた。でも腫れはなくて、力も入る。まともにぶつかったのではなく、落ちたはずみで当たったか。痛そうだけど、大事に至らなくて良かった。一連の騒動の中、父は我関せずで自分の夕食を用意していた。

翌日ケアマネが来た時にこの話を披露して、母が「もう限界なの」という。父に「施設を考えよう」とふってみたが、「1人で」とあごをしゃくった。我慢比べが、まだまだ続く。

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