僕とドラゴンクエスト7

ドラクエ7について唐突に語ろうと思う。(本当に唐突)

皆さんは「ドラクエ」と呼ばれる作品を遊んだことがあるだろうか。
大筋として、「勇者が魔王を倒す」話と思ってもらえれば多分大丈夫。スライムが出てきたりするやつ。

僕が初めてドラクエと出会った日のこと。
あれは自分が何歳位の頃だっただろう。多分まだ絵の教室に通っていた時期なので、小学3年か4年生あたりだ。その頃に発売されたプレイステーションソフトが「ドラゴンクエスト7」。この頃にもう7って。歴史長いね。
ゲームソフトの表面には緑の細長い帽子をかぶった少年と金髪の赤い服を着た少年、それから頭巾をかぶった女の子が写っている。

自分がどうしてこのゲームを買ったのかは正直なところ覚えてない。ただその頃、自分と仲の良かった同級生たちが三人ぐらいいて、その子たちと一緒に1つのゲーム機、1つのテレビ、そして1つのコントローラーを共有して皆でプレイしてた。
小学生の頭であーでもないこーでもないと知恵を出し合って謎解きをする日々。(小学生がやるにしてはまぁまぁ謎解き難しかったと思う)勿論パソコンやスマホなんてものはまだこの頃無かったし、ゲーム中の「ちょっと古めかしい言葉のヒント」も意味はよく分かっていなかった。

僕はドラクエシリーズをそこまで多く遊んでいるわけではない。
覚えてる限りで、7、8、11、あとは派生作品のテリーのワンダーランド。
シリーズ7番目となるこのドラゴンクエスト7は、他と比べて少し異色な作品だったと思う。それはなぜか。

まず初めに、世界が平和なのだ。
本当に平和。魔物に襲われたとかそんな話は一切無い。主人公たちは小さな島グランエスタード島で暮らしていて、漁師の息子に王子、それから網元の娘の三人が最初から行動するメンバーになる。(網元の意味は大人になった今でもよくわかっていないが、多分船乗りに関係するお金持ち的な意味なんだと思う)

そんな平和な世界だから、主人公たちはとにかく日々刺激を求めていて、その中でも少年の二人は、「何かこの島に秘密はないか」とあちこち調べて回ることに時間を費やしている。そして、そのうち島にある1つの古い遺跡にたどり着いて……。

まぁこんな感じで話が進んでいくんだけれど、とにかく小学生だった自分にとってこのドラクエ7の最初の印象は、冒険が始まるまでがまぁ長い。まぁ~~長い。「もうかれこれゲーム開始から何時間もやってるけどこれいつになったらドラゴンクエスト始まるの?」と内心思っていた。けどそこはやっぱりドラクエ。しかるべき段取りを踏むとちゃんとそこから冒険が始まるのだ。あの初めて謎解きがうまく行って、知らない世界へと旅立って、そして初めてスライムと戦闘した時。あれは子供ながらにワクワクした。

ちなみに今回はネタバレありでこのゲームを語っていきたいと思っているので、ここから先はネタバレありの内容とします。

ドラゴンクエスト7の世界は、海の真ん中に1つの島しかないと冒頭に言いましたが、実はそれには少し続きがあって。

実は昔には、この世界にももっとたくさんの大陸があって、たくさんの人々が暮らしていた。けれど魔王の手によって、主人公たちの島以外全ての大陸がこの世から封印されてしまったと言う背景。なので、未来の主人公達の世界には、グランエスタード島しか残されていないのである。

そして主人公たちは「不思議な石板」と呼ばれるアイテムを行く先々で偶然にも手に入れることになり、それが結果的に過去の世界へと旅立つためのキーアイテムということを知る。過去の世界で、その世界が封印された原因を断つことができれば、現代の世界に封印されていたはずの島を蘇らせることが出来るというストーリーだ。なので、主人公たちは現代と過去の世界を行き来することになる。もちろん大人たちには内緒で、子供達だけの秘密の冒険だ。(いいよね)

主人公達が暮らす現代は平和な世の中だけど、過去の世界ではいろんな争いがあったり、魔物もいたりで悲しい出来事が多々ある。そこで大事な人の死を体験したり、友人を失ったり……。主人公の幼なじみであり、王子でもあるキーファは退屈な日々にうんざりしていて、そして過去の世界で出会ったある1人の女の子に恋をすることになるのだが、そこでまさかの、「現代の生活や家族と別れ、過去の世界に留まる」選択を取るのだ。これには当時結構な衝撃を受けた。こんな形で別れがあるのかと……。
あと、キーファには妹がいるんだけど、彼と別れた後に「君のお兄さんとはもう会えない」と伝えにいく時は、ゲームとは言え中々にしんどかった記憶がある。

当時の自分は小学生で、まだその頃は自由帳に自分の想像したオリジナルモンスターとかオリジナルの武器とか、そんなものを想像して落書きするのが好きな子供だった。ドラクエ7はそんな小学生がやるにはなかなかにシリアスでヘビーでどちらかと言うと暗い展開が多い。

当時の自分は理解できなかったけど、過去の世界のグリーンフレークと言う街では、男女4人がそれぞれに思い思われる昼ドラのようなお話だったし、ユバールの民と呼ばれる旅する一族の話だと、許婚と一緒になる未来を運命によって奪われてしまった青年がいたし、レブレサックと言う街では、街の人間を助けるため、魔物と取引をした神父が挙句、街の人々からひどい仕打ちを受けるなんて言うお話もあった。(ドラクエ7のシナリオライターさんにどういう気持ちで書いたのか一度話を聞いてみたい)

基本的には僕はハッピーエンドが好きだけど、しんどい話だとか暗い話報われない話。そんなものに興味を持ち始めたのはドラクエ7の影響を強く受けていると思う。報われないこと、不幸のどん底にいること、そのことから復讐を誓うこと。そういったものにはドラマがあり、それは見る人を惹きつけるのかとゲームを通じて無意識に理解していたからだと思う。辛い経験をした人にとって、失意のどん底にいるキャラクターがどうやって立ち上がり何をなすのかと言うのはとても共感ができるところだし。

このゲーム自体をやったことがない人でも、もしかしたら聞いたこと、見たことがあるかもしれない、有名なシナリオがある。それはフォロッド城と言う過去の世界のお話。

その世界では、魔王によって作られた機械の軍勢に人間の生活が脅かされており、それを打開する策として打ち立てられたのが、相手のロボット改造し、逆にこちらの手駒にして、相手を撹乱させると言うものだった。そこで、ゼボットと呼ばれる発明家の手によって、改造された元・敵のロボットはエリーと名付けられ味方になる。結果的にそのエリーの働きと街の兵団の活躍、それから主人公たちの活躍によってその街は平和を取り戻すことができた。

平和になった世界でゼボットは、街から離れた一軒家でエリーと2人で静かに暮らした。そして主人公たちが再び現代へと帰ってくると、過去のフォロッド城が平和になったことで、現代にも大陸が蘇った。島に降り立つと同じ場所にゼボットの家があり、家の中では変わらずエリーが動き続けている。当のゼボットはと言うと、ベッドの上で既に白骨化していた。(過去の世界からかなりの時間が経っているので、無理も無い。エリーが特別)それに気付かないエリーは今日も、ゼボットのためにシチューを作り続ける。「シチューサメタ、マタツクリナオシ……」。このシーンに胸を打たれた人も当時は多かったと思う。

さて、話は変わってドラクエ7のシステムの話をしたいと思う。
ドラクエ7の代表的なシステムとして、連れ歩いているパーティーメンバーに話しかけることができる点が画期的だった。その会話の内容も、彼らが今いる場所によって常に変化するので、定期的に話しかけるのがとても楽しい。NPCに話しかけるのもとても面白く、本筋のシナリオでは語られない重要な話が何でもない街のNPCから聞くことができたりするので、そうやって話の保管をするのもとても面白い。

ここからは、個人的に僕が好きなドラクエ7のエピソードをいくつか紹介していこうと思う。

1つ目は、マーディラス。マーディラスは魔法の研究が盛んな街で、国を挙げて日夜魔法の研究に取り組んでいる。マーディラスには城があり、そこの王子ゼッペルは、密かに禁忌とされた魔法の研究を行っていた。
彼は過去に仲の良かった女の子を目の前で失う苦い体験をしており、そのことから力に固執ようになった。彼は完成した魔法によって自らの姿を魔物へと変え国を滅ぼそうとするが、最後には主人公たちによって敗れ元の姿へと戻る。復讐に取り付かれた青年だけど、その思いはすごく純粋で見ていて、なんだか切なくなる。いいお話。

2つ目はユバールの民。神が封印された祭壇を目指し旅をする一族。彼らはテントで生活をしていて、彼らの間に伝わる大地のトゥーラ(弦楽器)と呼ばれる楽器で演奏を奏で、それを一族の踊り子が音楽に合わせて踊り、神を復活させる儀式を行う。この一族の新たな担い手として、将来を背負って立つのが若いトゥーラの演奏者ジャンと踊り子ライラ。この二人は許婚で、将来を共にすると約束されていた。

そこに主人公たちが彼らのテントを訪れることで話は進む。主人公の仲間であるキーファがライラに惹かれてしまい、ジャンはそれを面白く思っていない様子(当たり前だ)。しかし、話が進むにつれて事態は思わぬ方向へ進んでいく。なんでも一族のしきたりで、「体にアザがある者同士では結婚ができない」と言うものがあるらしい。けれど、ライラにはアザがあったがジャンには無かった。しかしある日、ジャンの水浴びを目撃したという子供が主人公にこう話す。「ジャンの体にアザがあるのを見たんだ。あのアザがあると結婚ができないんじゃないの?」

……物語が進み、いよいよ神が封印されていると言われる祭壇に辿り着く一行。そこでジャンとライラは音楽と踊りを披露する。だが、結果として神は目覚めなかった。ショックを受けるジャン。また次挑戦すればいいと族長は言うも、ジャンは、自分には今しかなかったと言って上着を乱暴に脱ぎ捨てる。彼の上半身には青いアザが浮かんでおり、それを見た長老たちはうろたえた。そのアザがある限り、二人の結婚を認められないものだったからだ。全てを告白したジャンはその一族を抜ける決心をしてどこかへと旅立っていく。何事もなければ二人は幸せになっていたはずなのに、運命によってそれが狂わされてしまった。悲しいエピソードだけど、とても胸にくる。好きなお話。

3つ目は聖風の谷。地上よりも深い位置にある谷底出てきた自然の地形を利用して暮らしている、リファ族と呼ばれる有翼人たちの暮らす場所。
彼ら一族の中で、一人だけ羽を生やしていない女の子がいた。それがフィリア。羽があるのが当たり前と言う彼らの中で羽を持たない彼女は、同じ年頃の子供たちにからかわれていた。ある日、聖風の谷から風が消えた。谷に流れ込んでくる風によって空を飛び生活していた。彼らにとって風がなくなる事はそれだけ一大事だった。そんな中、唯一羽を持たない彼女だけが普段通り活動することができた。落ちこぼれだと思われていた彼女が、結果的にその一族の命運を握ることになる。
この話は暗い展開が続くドラクエ7の中でも比較的に救いのあるお話で自分は結構好き。

あと全然関係ないけど、転職システムとかカジノとか、移民のシステムとか後かっこよさランキングとかいろいろあったよね。面白かったなぁ。
(ラッキーパネルっていう、神経衰弱ゲームはよく遊んでた)

まとめ。
やっぱり今でもドラクエ7は色褪せない。みんな最初のころにやったゲームってやっぱり印象に強く残ってるよね? 自分もそうだけど、ドラクエ7は本当にひとつひとつのシナリオが心に残るものが多いので、今でも好き。
個人的にはプレステ版が好き。DS版はまだやったことが無いんだけど、なんていうのかな。「あの頃のドラクエはあの2頭身で、そこまで顔つきとか細かいディティールがわからないところ」が逆になんか好きだったから。

ゲーム的にはめちゃくちゃ長いゲームだけど、実際やってみるとすごく面白いゲームなので、興味がある人はぜひやってみてください!
長々とお付き合い感謝。また次回お会いしましょう。

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