"可能性という言葉を無限定に使ってはいけない"
森見登美彦の「4畳半神話体系」の名言である。
私は、嫉妬心が強い人間である。小学校のときは、金持ちの友達に嫉妬した。中学校のときには、イケメンに嫉妬した。高校のときは、勉強できる人に嫉妬した。大学生のとき、英語が話せる人に嫉妬した。
私は努力した。モテるようにカラダを鍛えた。人に好かれるように頑張った。勉強も人一倍頑張った。大学ではアメリカ留学に挑戦した。
それなりに結果は出た。
だけど、心は満たされない。新たな嫉妬は尽きないものである。SNSが発達した今の時代、嫌でも「見えてしまう」ものがたくさんある。
即興で耳コピできるYouTuber
一流の外資コンサルに務めている人
NASAで働いている人
「天才」という言葉を使うのは嫌いだが、嫉妬心を一時的に消してくれる。でも、一度どっかいった嫉妬心は、ふとした瞬間にブーメランのように戻ってくる。
そんなとき、可能性という言葉を無限定に使って、夢想してしまう。
「小さい頃から音楽をやっていれば、自分も今頃YouTuberとして活躍していただろう」
「もっと勉強していれば、今頃一流外資コンサルでTwitterでドヤ顔していただろう」
「理系を専攻していれば、NASAで研究していただろう」
確かに可能性はあったし、これからも可能性はある。でも、行動を伴わない現実逃避的な夢想はいずれ苦悩になる。
森見登美彦の四畳半神話大系では、こんなことも言っている。
"我々の大方の苦悩は、あり得べき別の人生を夢想することから始まる。自分の可能性という当てのならないものに望みを託すことが諸悪の根源だ。今ここにある君以外、ほかの何者にもなれない自分を認めなくてはいけない。"
「これからの可能性」を語る前に、まずは今の自分を認めなくてはならないと思う。認めなければ前進できない。
なぜ夢想してしまうのか
それは人間が「確率」と「可能性」を勘違いするからだ。
アメリカの人気ドラマの「ヤングシェルドン」では牧師に神の存在を問うシーンがある。「ヤングシェルドン」は天才児を描いたコメディーである。
上記動画の内容を一部意訳。
牧師:よく人に「どうして神様が存在するとわかるの」と聞かれることがありますが、私はこう言う。「簡単な数学だ」と。神様が存在がするか・しないかは、最悪ケースでも50:50のチャンスだ。(つまり50%の確率で神様は存在するということ)
シェルドン:「それは間違いです」「あなたは確率と可能性を混同している。そのロジックだと僕が家に帰ってベットの下で100万円を見つけるか見つけないかが50:50であるということ。どんな世界にそれが50%の確率なの?」
ここでは何が言えるか。
牧師は神様が存在する確率を50%と仮置きしているため、あたかも神がいそうだが、まず50%の仮置きが間違っていること。
じゃあ「夏に雪が降る確率は50%」と誰かがいったら、即座に間違いだとわかるだろう。確かに「夏に雪が降るか降らないか」は単純に50%だが、少なくとも日本の気象観測データをみれば50%の確率でないことはわかる。
問題なのは、神様がいる確率が定量的にまったくわからないため、50%としてしまうことだ。
人が人生を夢想するときも同じだ。例えば「小さい頃から音楽をやっていれば、自分も今頃YouTuberとして活躍していただろう」。これも確率では測れないものだから、なれるかなれないかの二択として可能性を考えてしまう。
しかし、もしかしたら今より悪い人生になる確率だって、死んでいる確率だってあるのに、それが全く考慮されていないのだ。
人の人生を歩むことはできない。
あなたはあなた以外になれないし、他人もあなたになることはできない。自分を認めたうえで、自分なりの人生を歩むことが大事だと思う。
ディスニー映画「シュガーラッシュ」でとても好きなシーンがある。
これは、悪役主人公のラルフが悪役をやめたいと仲間に相談するシーン。
ストリートファイターのザンギエフはこう言う。悪役をやめてしまったら、誰がその役をやるのか、その役目を果たすために悪役をやるのは"悪い"ことではない。
次にソンビはこう言う。肩書きでは幸せにならない。良いと悪いとか(肩書き)ではなく、あなたを愛すこと。
最後にパックマンが言う。私たちは他の何者になることはできない(We can't change who we are) 。まずは自分を受けいれることで、人生はより良いものになる。
最後に
間違えて捉えてほしくないのは、可能性がないと言いたいのではなく、他人に嫉妬して、別の誰かの人生を夢想することは時間の無駄だということ。
前向きに行動しながら、自分の可能性を信じて、自分なりの人生を切り開いていきたいと思っています。
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