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読書記録 #11 『大河の一滴』

 今回は五木寛之著、『大河の一滴』を読了した記録noteです。

 読了後の感想は、「戦後を生き抜いた、ある男性の述懐」というものでした。感想ではなく説明ですが。
 とにかく全編、五木氏の「これについてはこう思う」といった態度で進んでいきます。
 以下、気の付いたポイントを列挙。

 
はじめに『私はこれまでに二度、自殺を考えたことがある。』という一文から始まるのでぎょっとしてしまう。
 次に「いかに人間が小さな存在か」が書かれてあり、それが「大河の一滴」というフレーズにつながっている。
 あまりにマイナス思考な文章が並ぶので気圧されてしまうが、五木氏はいわゆる戦後の「引き上げ組」で、氏によると「多くの善人の犠牲の上に自分は在る」のだという。
 そういった自覚から、本作品は徹頭徹尾マイナス思考で書かれている。
 だから読むとしたら元気な時を選ぶか、もしくは何かつまずいて本当にへこんでいる時がいいと思われる。元気な時には「こういう考え方もあるんだ」と思えるだろうし、へこんでいる時には良い「慰め」になると思えるだろう。
 途中、氏の現代医療に対する姿勢が書かれている場面があって、そこに一部「現代医療でドライに切り捨てるよりも自然治癒に任せよう」といったことが書いてあって驚いた。確かにそうして癌と対峙する人もいるよなあとひとりごち。
 終盤、親鸞とその伝道者蓮如のくだりがあって興味をひかれた。
 明治期に大流行した『出家とその弟子』という本が紹介されていたのでメモ。明治期の人たちはどのような本にどのような影響を受けたのだろうということに興味が湧いたため。

「あとがき」に、「二十代の人は三十代になってから、三十代の人は四十代になってから」再び読んでみて欲しいと書いてあったので、とりあえず手元に置いておいて時期がきたら読み直そうと思います。
以上。


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