山形県遊佐町沖の洋上風力発電事業者が決定!しかし、この事業には大問題あり! 離岸距離2〜5kmで15MW×30基は沿岸住民の不眠症リスク、鳥類への影響大。 世界初の暴挙! 山形県に見直しを要請!
2024年12月24日、遊佐町沖における洋上風力発電事業者が決定した、12月25日の各社の新聞紙面がそれを報じた。
朝日新聞では
遊佐沖の洋上風力事業者、丸紅、関電などの合同会社に決定
山形県遊佐町沖で県などが実現をめざす洋上風力発電について、経済産業省と国土交通省は24日、事業者として、丸紅や関西電力、東京ガス、建設会社の丸高(酒田市)などで構成する「山形遊佐洋上風力合同会社」を選定したと発表した。2030年6月の運転開始を予定しているという。
遊佐町沖は昨年10月、再エネ海域利用法に基づき、整備を優先的に進める「促進区域」に指定された。国交省によると、4事業者が公募に応じ、実現性や供給価格、地域経済への波及効果などの総合評価により、最も評価点の高い事業者が選ばれた。
事業計画によると、発電出力は全体で45万キロワット。海底に固定する着床式の洋上風力発電で、1基1.5万キロワットの風車を30基建設する。
事業者選定を受け、地元からは期待の声が上がった。松永裕美・遊佐町長は「長期にわたり、ともに遊佐のまちづくりを担うパートナーが選定された。町民や関係漁業者と情報を共有し、安全・着実に事業が進められるよう、協力していく」などのコメントを発表。矢口明子・酒田市長も「基地港湾の利活用が見込まれ、地域産業活性化や雇用創出に期待する」などのコメントを出した
遊佐町のHPには以下、記載がある。
奇しくもこの12月24日、私は鶴岡持続可能社会研究所 代表 鶴岡市議会議員として 以下の要請書を山形県知事に提出した。
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2024.12.24
遊佐、酒田市の洋上風力発電計画の見直しを求める
要請と公開質問
山形県知事 吉村美栄子様
鶴岡持続可能社会研究所 鶴岡市議 草島進一
●2024年11月30日、JSA 日本科学者会議 第25回総合学術研究集会の分科会 「風力発電の課題を考える」において、風車騒音、又、野鳥の研究者の発表と総合討論のまとめとして、以下のように考える事が科学的に妥当である。とした。
▼学会アーカイブ 全体
https://x.gd/z6mR
短縮版34分 https://x.gd/kUtlL
●風車騒音の観点から10MWの洋上風力発電であれば、離岸距離8km以内では沿岸住民は、不眠症になる可能性がある。
●渡り鳥、海鳥の鳥類保護の観点から日本海側のラムサール湿地に飛来するガン・カモ・コハクチョウや海鳥への影響を想定すれば、10kmの離岸距離が必要である。
●各地の法定協議会はオーフス条約の意図に反している。
●イギリス、欧州では経験を重ねつつ、風車の大型化に伴い離岸距離を拡大している。
今年7月、山形県担当者は、酒田市民への住民説明会の場において、「10MW以上の風車は、10km以内に建設された事がない。」との国会参議院環境委員会6月7日の環境省答弁を踏まえ、「離岸距離2kmの山形県の計画は狂気の沙汰ではないのか?」という酒田市民の問いかけに対し、「台湾では14MW洋上風発を5kmに建設する計画がある」又、「科学的知見を踏まえると1キロ程度離れると低周波を含む風車の騒音が減衰して、人の健康に直接的に影響を及ぼす可能性は低いと結果を示されている。」などと回答した。
この「台湾では14MW洋上風発を5kmに建設する計画がある」は、発信元であるエネルギー庁担当者に確認すると、「現在そうした計画はない」と回答を得た。
また、「識者によれば1キロ離せば減衰して人の健康に直接的に影響を及ぼす可能性は低いと結果を示されている」について環境省に確認すると、そのような識者の発言はない。と回答を得た。
環境省の委託研究で元国立環境研究所の影山隆之 大分看護科学大教授らの1000人規模の疫学調査による「41dB以上で不眠症の有病率が5倍以上になる」という研究結果は査読論文として国際的に発表され、諸外国の研究者が引用している。その研究結果を基に北海道大学 田鎖順太 助教が開発したシミュレーション・ソフト「H-Risk」は、騒音制御学会で査読論文として2022年に発表され、現在に至るまで、反論は確認されていない。
県はこれまで、「このシミュレーションは残留騒音を踏まえていないので論外」などの回答をしてきたが、そもそも影山教授らの疫学調査でも残留騒音は不眠症因子として関係がないのでH-riskでも省き、対象としていない事を確認した。
県は、科学的根拠のない反論で科学者の見解を無視し続ける事を改め、国会でも発表された、H-Riskの結果として、「遊佐の計画では250人の不眠症リスク」を真正面から受け止め、住民とのリスクコミュニケーションを真摯に行うべきである。
今般の日本科学者会議の学会分科会の結論から、現行の遊佐風力発電、酒田風力発電について、以下のように考える事が科学的に妥当である。
●風車騒音の観点から15MWの遊佐洋上風力発電を離岸距離2kmの計画では沿岸住民は、その一部住民(250人)が不眠症になる可能性がある。
●渡り鳥、海鳥の鳥類保護の観点から10MWの洋上風力発電であれば、10km以内の離岸距離では、日本海側のラムサール湿地に飛来するガン・カモ・コハクチョウへの影響や海鳥へ、バードストライク、飛来ルートの変更、生息地変更を伴い、ラムサール湿地の価値が失われる可能性がある。
●現行の法定協議会は、建設される地元からは首長と漁業関係者のみの参加であり、数多くの住民の声が無視されているのが事実である。住民説明会での意見も、現行計画には全く反映されず強行されている実態であり「オーフス条約」の意図に反している。
以上から、現在の遊佐の計画は、「持続可能な開発」ではないと、科学的に判断できると思料する。この離岸距離の問題は、環境アセス上の環境配慮では解決できない問題である。
よって、以下を要請する。
●県は、現行の15MW 洋上風力発電 52基 等2kmの離岸距離で建設する計画を見直し、最低でも10km以上の離岸距離をとって建設すること。
例えば、米国西海岸沖(14MW洋上風力発電を浮体式で35km沖に建設)
ポルトガル沖(8MW洋上風力発電を浮体式で15km沖に建設)
こうした軌道修正をおこない「持続可能な開発」のフレーム(範疇)での建設を強く求める。
●法定協議会について、全てのステークホルダーが参画し協議できる「オーフス条約」を踏まえたプロセス設計に変えることを強く求める。最低限でも風車騒音に知見を有する科学者、渡り鳥や海鳥の生態に知見を有する科学者を協議の場に参画させる事を強く求める。
以上の要請に対しての見解を求める。なお、これまでの回答は全く科学的な回答になっていない。今般提示した新たな科学的見解や事実に対して、科学的根拠による回答を求める。
以上 〆切期限 1月末日までの回答をお願い申し上げます。
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この提出の後、おこなった記者会見も模様は、こちらです。ぜひご覧下さい。
そして、この根拠となった、11月30日日本科学者会議 第25回総合学術会議 の分科会 会見用に編集した 短縮版35分はこちらです。
全体の約3時間バージョンはこちらです。
どうぞご覧いただき、ご意見などお寄せ頂ければうれしいです。
よろしくお願いいたします。
草島進一 2024.12.26