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文語俳句 「秋」60句 〜文語体の俳句集〜

俳句にご興味のあるnoteのみなさまに俳句の様々なことについてご紹介していく記事です

文語俳句「秋」60句

はじめに

文語体・歴史的仮名遣い・古典的切れ字を基本にして詠んだ俳句作品集です。

今年の8月に詠んだ作品をまとめたものです。

伝統的な詠み方として文語体・歴史的仮名遣いを使用しているため一定の読みづらさがあります。

読んでいただく方にはご負担をおかけしますが、ご興味がありましたらご覧になってみてください。

*作品はすべて既発表句です
*資料用としてまとめたものです
*文語・口語の図を記事末に記しています


「秋」
60句
文語俳句集

さまざまのあかうつくしや夕牡丹


秋風鈴はるばると鳴り止みにけり


落ちかかるわが身のかげや墓洗ふ


つかふ水手に添ふ秋となりにけり


せんさうや首の折れたる大向日葵


ちんもくの手がにぎる鬼胡桃かな


おのづから空あふぎけり門火焚く


秋の蝶かぜのすきまを飛びにけり


かげ曳きて坂のぼるなり墓まゐり


はかまゐり三代つづくへいわかな


おのづからうまるるかげや盆の月


もくすひとしたしみ湧くや盆の月


こほろぎにゆるしてをりし心かな


ふるさとを明らかにして月夜かな


しづまる木ふえてゆくなり蝉の秋


鬼がはら日に灼けてゐる残暑かな


ことごとくかぜのかたちや秋の雲


沈黙にあつまりしあかとんぼかな


ゆふぞらやくづれをただす雁の列


けさ何もうつさずに水澄みにけり


手をつけてかがみのなかや水の秋


白露をおもくしづかに踏みしめぬ


ゆびさきに脈かよふなりつゆの玉


吸ひつきてひとさしゆびや露の玉


秋遍路ゆくしろきかげばかりかな


あらそひてみな墓の中身にしみぬ


秋の蝶かぜにのるすべきはめをり


そのおともまぶしき秋の川瀬かな


ほそき枝すこししなるや小鳥来る


嶺さえも染めてゆくのは紅葉かな


たふとさやあはきにごりの天の川


生活や身を吹き抜けしあきのかぜ


きのふよりしろふかまるや秋の壺


夜のやみに底なきごとく虫鳴くや


羽ばたきて脚伸びきりし飛蝗かな


みづのおと追ふてあるきぬ秋の川


浮く舟や湖面ながるるあきのくも


ふるさとのそらにれきしや渡り鳥


雁のこゑただゆく山はしづかなり


草のわた飛び立ちやまぬ薄暮かな


なかぞらをくすぐりやまぬ芒かな


あかとんぼわけて城趾あるきけり


海にでて秋の野あそび果てしかな


漁船に灯いまだひとつや秋のくれ


おのおのがおのれを仰ぐ月夜かな


家系とはすゑひろがりやあまの川


かがやきて底の見えざる銀河かな


うなばらもうづを巻きたり大颱風


ばうぜんと来る雲あふぐ野分かな


掃くおとやかぜ吹きまじる台風後


大夕日みづからを問ふ案山子かな


こめづくりいまだなかばや稲穂波


田には稲木々には柿のみのりかな


秋神輿すなはちみのりゆたかなり


すずめらの陽をついばむや大刈田


いが栗の十字にわれてをりしかな


かげりつつあたりつつ日や紅葉山


木のかげやいろのながれし紅葉川


月ほどにしづかなりけり虫のこゑ


八月をともしのこせしあかりかな

〜終〜


▽俳句の読みくらべがしたい方はこちら▽
文語体・口語体・しゃべり言葉


◇文語・口語の大まかな図

下記は、俳句における文語・口語の大まかな図です

◇文語=文語体=古典語=古い時代の文体

◇口語=口語体=現代語=書き言葉
         ∟==話し言葉

◇仮名づかい 歴史的仮名遣い 現代仮名遣い



いつも
ご覧いただき
ありがとうございます


*作品はX、俳句てふてふに投稿したものです

*解説について至らない点、充分に書き尽くせていない部分もあると思いますがご容赦ください

*俳句については個人・団体によって様々な考え方や見解があります


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