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他者を知ったから、自分を知れた~日本の美に魅せられて~
2024年11月1日(金)~2024年11月26日(火)にMOA美術館で行われた『光琳 国宝「紅白梅図屏風」 ×重文「風神雷神図屏風」』に行ってきましたので感想などを書かかせていただきます。最後まで読んでいただけますと幸いです。
メインロビーの絵画
MOA美術館に訪れたのは今回が2回目です。前回、ポケモン工芸展で訪れた時には気づきませんでしたが、メインロビーに面白い絵画を見つけました。(調べてみるとMOA美術館のリニューアルに関わった杉本博司氏の作品らしいです)
見た瞬間は白と黒で構成されたミニマリズムまたは抽象絵画のようなコンセプチュアルアートのような作品だと認識しました。
しかし、5秒ぐらい見ていると絵から「光に照らされている海」を感じました。この作品についての詳細は分かりません。ですが、杉本氏の作品の方向性から推察する限りこの感じ方は作者が表現したことに近かったと今では思っています。
日本美術に魅せられる
展示順路の序盤から俵屋宗達や尾形光琳、尾形乾山の作品があり、教科書や美術史の本で見るような有名な作品も展示されていました。
私はこれまで西洋美術の展示に行くことが多かったです。日本美術の展示は葛飾北斎展、歌川展くらいでした。日本美術は線で書かれていて色数少ないし淡いしよく分からないという印象で、なんとなく距離を置いていました。ですが、見終わった頃には「ただの食わず嫌い、知ろうとしなかっただけ」と思うようになりました。
展示順路中盤になると酒井抱一や葛飾北斎の作品もありました。
酒井抱一は江戸琳派を代表する絵師で、鮮やかな色を使いながらも日本美術らしさを残している。言い換えると力強さと静かさの共存です。
そんな酒井抱一のとある作品に目を奪われます。
雪月花図。
この作品に日本美術の良さが詰まっていると思います。
・構図
・一瞬を表現
・淡泊さと鮮やかさ
・構図
松の幹を画面上部に一部のみ描いたり、桜花を下部に描いたりして画面には空白が多いのに、見切れていることで松と桜の大きさを感じさせます。
このような構図は中国美術の影響も受けていると思いますが、こういう大胆な構図はとても魅力的です。
・一瞬を表現
これは雪松と月をみて感じたところです。
雪松の枝や葉に積もっている雪が垂れて今にも落ちそうに描かれています。
また、月の輪郭と雲影がとても絶妙ですね
・淡泊さと鮮やかさ
これは全てに言えることですが、どれも空白が多く西洋美術だとありえないような構図です。とくに松はパッと見ただけでも鮮やかさが分かります。月は色合いも相まって最初は淡泊な印象を受けました。しかし、見続けていると濃淡の良さに惹かれます。
この作品は、1ヶ月が経った今でも度々「良かったな~すごいな~」と思い出すぐらい印象に残っています。今回の展示で一番良いと言っても過言ではありません。
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2つの風神雷神図屏風
この展示の目玉である尾形光琳の「紅白梅図屏風」と「風神雷神図屏風」。
とっても大きくて金色が凄かった!!!!
人が沢山いてすごい人気でした~
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そして、この立派な屏風を見て思ったことは構図が違うということ。
尾形光琳の「風神雷神図屏風」は俵屋宗達のを模写したというのはそれなりに知られています。ですが構図を少し変えているということは知りませんでした。
実際に尾形光琳の作品をみると二神が枠内に収まっているんですね。まずそこに驚きました。それと同時に少しの物足りなさも感じました。個人的に、宗達の「風神雷神図屏風」の良さは二神が枠内に収まっていないところでした。枠内に収まっていないからこそ迫力が増してより素晴らしい作品になっていると思っていました・・・。
でも、これは完全に好みです。これもまた美術の面白いところですね^^
他者を知ったから、自分を知れた
私が美術に全く興味が無かったときに行った葛飾北斎展で感じたことは、今でもハッキリと覚えています。
・教科書でよく見る富嶽三十六景があった!
・絵をみても特に何も感じないし、美術全然わからない
この2つです。
そんな私でも今では美術史知識を入れたり美術館に足を運んだりしたことで様々なことを感じることができるようになりました。
西洋美術と日本美術では、描く対象物、構図、色使いなど様々な点で違いがありますが、そこに優劣はありません。少し前の私なら西洋美術の方が優れていると即答していたと思います。本当に愚かですね。
知ろうとしなかっただけでした。
日本美術の良さを知れたのは間違いなく西洋美術のおかげです。
日本美術だけを見ていても私は良さに気づかなかったでしょう。
他者を知ったから自分を知れる、
知ろうと思うことの大切さ、知ることの大切さを美術から学びました。
不知を無知に、無知・未知を既知に。評価するのはその後で。