見出し画像

草フットサルにおける3大誤謬

瞬時判断論

 全ての状況を確認して最上の選択肢を見つけるべきと考え、状況を確認して判断するのにかかるコストを無視してしまっていることによる誤謬。状況判断に要する時間と、時間経過がもたらすデメリットに対する認識の甘さから生まれる

 例えば、右サイドを攻め上がり、左後ろから多少プレスを受けつつもそのままシュートを打って止められたとしよう。そんな時「逆サイドにフリーがいたんだからパスをしろよ」と言われたとする。
 しかしパスを行うためには、逆サイドに走ってきている味方がいるか、それに追走してきている敵やパスカットを狙う敵はいないかを確認して判断する必要がある。それだけではない。パスを考えるならば、今回たまたまいた逆サイドだけではなく、マイナス等の別の場所の状況も確認した上で、シュートを含めた全選択肢から最もゴール確率の高い選択肢を判断する必要が出てくる。時を止めて良いなら上記判断は容易だが、実際はそんなことをしている間に自分の後ろの敵が追いついてきてシュートという選択肢のパフォーマンスは下がっていく

 もちろん周りを見なくてよいということではないが、現在見えている選択肢にある一定以上の期待値があるなら、それ以上選択肢を探索することは状況判断に要する時間と時間経過デメリットを考えると無駄になることが多い。ここでいう一定以上の状況とは、わかりやすいところでいうと「前が空いた状態でシュートを打てる状況」などである。草フットサルにおいて華麗なパス回しで決まることなどほとんどないわけだから、前が空いた状態でシュートを打てる状況より期待値が高い状況はなかなか作れないからだ。
<参考>シュート至上

体力無限論

 近視眼的に状況を捉え、体力がちゃんとあるプロ等を参考にした理想の行動を求めてしまう誤謬。ある場面の理想の行動を考える際に全体の体力配分を考えないため起こる。

 草フットサルでは華麗な崩しからではなく、ちょっとしたミスや、戻りきれず数的不利を作られて失点という場面が非常に多い。これらの状況の主な発生原因となるのが体力不足である。疲れてくると、走れなくなるだけでなく、パスやトラップのミス、さらには判断ミスも多くなるからだ。体力は有限かつ貴重な資源であることを肝に銘じる必要がある。

 相手ボールになった際に4人全員がすぐに守備に戻ってくることを要求したり、フルコートマンツーマンのようなプレスを要求したり、パウへの走り込みを常に要求したり、その場面だけ見ると間違ってはいない要求かもしれないが、体力が有限であることを考えるともったいない使い方をしてしまっているケースが多々ある。本当に大切な体力資源を消費してまで行う価値のある行動なのか、それらしく言うとコスパを考えて選択する必要がある

技術万能論

 基本的なプレーにミスが発生しない前提で行動や判断をしてしまうことによる誤謬。うまいチームのサッカーの試合を見すぎかもしれない。

 例えば、そのままシュートをすれば60%入る状態から、味方にパスをして80%入るシュートを打ってもらうとする。60%が80%になるのだから絶対パスをするべきと考えてしまうが実は違う。パスがずれず相手にカットされずに通る確率が85%で、寄せられる前にシュートを打てる位置にきっちりトラップできる確率も85%だとすると、合計で60%をきってしまう

 何度も言うが、草フットサルのレベルでは、得失点は綺麗なパスワークからではなく、ちょっとしたミスやこぼれ球などにより生まれる方が多い。それはパスとトラップという基本なのにめちゃくちゃ難しいプレーを連続して成功させないと崩し切ることが出来ないからだ。つまりは「シュート至上」といった結論になる。


いいなと思ったら応援しよう!