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ウクライナがチェコに乾燥機を提供

先週の洪水で大きな被害を受けたチェコ北東部。
日本でも能登半島の大雨の被害に心が痛くなります。
被害に遭われた方におかれましては、一日も早いふつうの生活が戻りますように、と願わずにはいられません。

チェコの洪水もこの時期にこれほどの規模で起こるとは、じつに前代未聞のことでした。

被害のあったエリアには、EUのシステムに沿ってスロベニア、ベルギー、クロアチア、ドイツから乾燥機が提供されているようです。
乾燥機というのか、除湿機というのか、別の言い方があるのか、現在の私にはまだわからないのですが、浸水してしまった家財や住宅資材を乾かすための機械のようです。

この機械が、EU外のウクライナからも届いています。
チェコの外務大臣ヤン・リパフスキーが、ウクライナから乾燥機の提供があったことをX(元Twitter)で英語で発信、感謝の念を表現しました。

最近のウクライナ情勢では、ウクライナがアメリカやEUから武器や資金を提供される立場にあります。
ゼレンスキーがもっと武器を送ってください、と言っているのは一度や二度ではありません。

そんなウクライナが被災したチェコのために機械を提供してくれる、というのは、目立つニュースでもありますし、さまざまな背景や意味が浮かんできます。

ロシアによるウクライナ侵攻が始まって、もう間も無く1000日となってしまいます。
この侵攻が始まる前、チェコ人がウクライナ人にどんな印象を持っていたかは想像できるでしょうか。
そして、いまチェコ人がウクライナ人にどんな感情を持っているか想像できますか。

チェコの大統領はつねにウクライナを助ける姿勢でいますし、日本も同じです。
だから私は当初、多くのチェコ人が、ウクライナを完全に応援する気持ちでいるのだろうと予想していました。
しかし、戦争が長引くにつれて、ウクライナ支援のためにチェコ人が耐えているのはおかしいと訴える人が出てきて、プラハでもそれを理由にしたデモが起こったりもしています。

チェコには、ロシア人もウクライナ人も、かつても現在も、大勢住んでいます。
近すぎるゆえ、さまざまな情報や個人の経験が絡み合い、状況はそんなにかんたんなものではありません。
個人的に話してみると、いろんな考えを見聞きします。現実ってやつですね。

そんな中、洪水の被害で生活が変わらざるを得なくなったチェコ人たちのために、ウクライナが力を貸した、というのはとてもポジティブなニュースだと感じます。
どこの誰であれ、苦しんでいる人には手を貸すべきだし、ウクライナは武器供与を求めるだけの弱い国ではない。

それを表現することがとても大事だと思います。

この記事のトップ画像は、プラハのフロレンツ・バスターミナルの切符売り場です。
少し前まではチェスキークルムロフなどに行く観光客であふれていたのに、コロナウィルスの流行とウクライナ侵攻によって、ウクライナ行きバスのチケット窓口が半数以上を占める、物静かなターミナルになってしまいました。

…とにかく、早くロシアが侵攻を止めてくれればいいのに。


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Hatsue Kajihara
ここまで読んでいただき、とってもうれしいです。サポートという形でご支援いただいたら、それもとってもうれしいです。いっしょにチェコ語を勉強できたらそれがいちばんうれしいです。