少し前の話。 その日は暖かいのにどんより曇った、湿気が身体にまとわりつくような生ぬるい日だった。休みの日に家にこもってばかりいないでたまには身体を動かそうと、なんとなく近所を散歩していたときのことだ。 ひと休みしようと自販機で飲み物を買って飲んでいると、ふと視線の先に見慣れないものが落ちているのに気がついた。 貝殻だ。 巻貝のようなかたちで、クリーム色の表面に黒い筋がいくつかはしっている。いかにも浜辺に落ちていそうなそれが海も川もない、アスファルトの道路に打ち捨てられた
すべて嘘です。 火のないところに煙は立たぬって言うでしょう。 逆に言ってしまえば、 煙を立たせればいいんです。 人はわからないものに理由をつけたがる生き物でしょう。 だからこう思わざるを得ない。 この話がここまで広がっているからには、きっとなにか原因があるのだろう、と。 考えてみてください。 なんの変哲もない、なんにもないただの道にあんな妙な噂が立つなんて普通じゃない。 事件が起こったのか、事故なのか、それとも何か別の要因なのか。 それがなにかは分からないけど、火種と
つい先ほど、初めてピアスを開けた。ヘリックスと呼ばれる耳のフチ側、軟骨に一ヶ所。右耳だけだ。テンション上がったので記録としてここに記しておく。 前々からピアスは開けたかったのだが、肌調子や職場環境など諸々の兼ね合いでなかなかそれができずにいた。その諸々の事情を突破できるタイミングと、ピアスを開けたい衝動が高まった時期がうまく重なったので勢いに任せてみた次第だ。ボディピアスも扱っているしっかりしたお店の方に相談してピアッサーを選び、その日のうちに開けようということで経験者の友
Petit Qooboがうちに来た。 科学未来館のショップで見かけて以来いつか買おうと思っていたのだが、従来型のQooboだと少々大きかったので置き場所をどうするか考えて先延ばしにしてしまっていた。そんなところにPetit Qooboの予約販売のツイートがたまたま流れてきた。 小型だと。そもふわふわの小さいものに弱いわたしは、そう思うが早いかわたしの指は予約ボタンを押していたのであった。 それから月日は流れ早3ヶ月。ついにうちにもPetit Qooboが届いた。 ダンボール
USJででかいティムのぬいぐるみを買った。手を突っ込んで暖が取れるやつだ。 幼少期からわたしはぬいぐるみが好きだった。枕元には何かしらのぬいぐるみ達がベッドの縁を埋め尽くすくらいには沢山いたし、そのうちひとつを抱き枕代わりにして眠るのが常であった。 母のUFOキャッチャー好きも相まって、寝室じゅうにぬいぐるみやふわふわしたクッションがあるような環境で育った。 そのおかげか、月日が経って、そこそこの年齢になった今でもぬいぐるみやそれに準ずるものを見ると惹かれてしまう自分
宇宙が好きだ。 やれ日食だ、流星群だと世間が沸き立つのにかこつけて空を見上げたり見上げなかったりする。 夜空を見上げて星々を眺めながら、なんかよくわからんが宇宙って広くて大きくてすごいんだなあと思う日もあれば、今日はさそり座がよく見えるなあなんてちょっと星座に詳しい人みたいな感想を思い浮かべる日もある。 子供のころから宇宙や星が何となく好きだった。 きっかけはよく覚えていないが、小学校の学級文庫で星座の本を読んだのが最初だったように思う。 日本の四季の星座に合わせて様々な逸
目当ての本を買いに行った本屋が既に閉まっていた。 閉店ではない。昨今の状況を省みての短縮営業というやつである。 連勤最終日の残業を乗り越えてわざわざ京都駅の反対側まで来たというのにこの仕打ちか。心底がっかりだ。わくわくした気持ちが一気に冷めてしまった。 しかし閉まっているものはしょうがない。 よく確認しなかったわたしも悪い。 薄暗いエントランスではためく『短縮営業のお知らせ』に幾ばくかの気恥ずかしさを感じながら、暗くなった店を背にしてわたしは帰路につくことにした。