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生まれ変わる夢(微ホラー)

生まれ変わる夢を見た。
気づいたら壁が半透明の雑居ビルのような場所にいた。

そこで「もうすぐ殺されることが分かったので、死ぬ瞬間がくるまえに早めに生まれ変わりの手続きをしよう」と思ってここに来たことを思い出した。

白い通路の先に不自然に設えられた茶室のような場所があり、書道家のような中年の女性が待っていた。細長い紙の前に立たされて、ここに筆で自分の名前を書け、と言ってきた。

手続きより先に死ぬ時間が来ないように急いで「中野亜沙子」と書くと、書道家はわたしの名前に縦一本の打ち消し線をして、その下に新しい名前を書いて丸をした(虹がつく名前だった)。

だんだん手足と頭がしびれてきて体に力が入らなくなって板の間に横たわった。

書道家が弟子に何かを指示すると、おじさんの顔のようにも見える白いキノコのような生き物が7人来て、わたしを横向きのまま地下に連れて行った。

目的地に着くまでにキノコおじさんたちが「生きるって大変だったよね」「生きるのはもうおしまいだね」などと声をかけてきて不安になったけど口が動かず答えられなかった。

地下に行くとコインランドリーのような無機質な場所があって、そこにも女性がいた。書道家の女性より若く、30代くらいの白衣を着たサバサバした女性で、次生まれるときの大人になった姿や大まかな人生を教えてくれた。なんかちょっと選べる部分もあったけど細かくは覚えていない。

その頃には自分で立てるようになっていたので、立って話を聞いていると、壁にある洗濯乾燥機のような穴に自分で入るように促された。中は真っ暗だった。

もう戻ってもどうせ死ぬし、躊躇してもしかたないか、と滑り込むと息が苦しくなりウォータースライダーのように下へと押し出され、気づいたら透明のベッドで寝ていた。赤ちゃんの腕が見えて、また生まれたんだ、と思った。

特にオチはないのだが、こういう不思議な夢は誰かに伝えたいなと思う。人のそういう夢を聞くのも好きだ。

年末年始はたくさん寝られるからたくさん夢を見る。


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