くるみの目指す社会とは?

会社員生活の傍ら、NPO法人くるみー来未(以下くるみ)を立ち上げ、運営し始めて丸5年が経ちました。くるみが目指しているのは「インクルーシヴな社会づくり」です。なぜならそれは、今よりもっと豊かな社会になると思うからです。

■インクルーシヴな社会って、どんな社会?

聞きなれない方もいらっしゃるかと思いますし、人によって定義は異なると思いますが、わたしが考える「インクルーシヴな社会」とは、「年齢、性別、障害、国籍などの垣根のない社会」です。下の絵をご覧になってみてください。

① 排除される社会
② 遠くに分けられる社会
③ 近いければ、壁がある社会
④ まぜこぜで、寛容な社会(=インクルーシヴな社会)

これは、たとえば学校や会社に例えるとわかりやすいかもしれません。
① 仲間外れの状態
② 特別支援学校、福祉施設
③ 特別支援学級、特例子会社

④のような学校や職場は少ないかもしれませんが、くるみで2年前に上映会をした「みんなの学校」はまさに④のイメージでした。それは一つのとても豊かな社会でした。いろいろな意見があるとは思いますが、やってできない話ではないとわたしは思います。学校でも、会社でも、地域でも。だから、わたしは地域に④のような居場所を創りたい!と思いながら5年間くるみで活動してきました。

だって、①②③を見てください。革いすや杖を突いている人は、まるで「仲間外れ」みたいに見えませんか?もちろん、②③のような対応が必要な場面はあると思います。でもはじめから「隔離」したり、「シャットアウト」したりするのはそもそもおかしいし、ましてや当事者の意見が聞かれてさえいないことが多いです。

そして、この線引きの基準を決めているのは、例外なく「隔離されない」側の人です。いわば、彼らの基準で「この方がいいだろう」ということで勝手に決められているのです。わたしが息子を育てている中で「仲間はずれ」「隔離されたり」「シヤットアウトされたり」して、「なんでそうなるの!?」とモヤモヤすることがとても多くありました。

■これまで経験した、こんなことやあんなこと。

経験談を話していきますと、
そういう人たちって、雰囲気的には
「だって、そういうものですよ?」
「仕方ないんです」
「わたしたちもがんばっているんだから」
・・・とか、そんな感じ。
まったく悪気はないと思うし、その人たちにとってはそうかもしれないけど…。でも言われる側はまったく納得いかず、息子とともに益々モヤモヤ。

・あるときは幼稚園に入れず、
・学童に問い合わせると「障害児は受け入れていません」と言われ、
・学校ではなぜかみんなと同じ活動に参加させてもらえず、
・部活は(実質的に)やめさせられ、

またあるときは、・・・ともうそんなことをたくさん経験してきました。
もちろん、多くの方が助けてくださり、とてもありがたく、うれしい出会いもたくさんあったのも事実。でもそうでない場面に出くわすと「やっぱり、なにかがおかしい!」と思いつつ、この人たちにどう説明したらわかってもらえるのだろう?といつも悶々。あーこのやり場のない気持ちはどうすればいいのか!?

こんなこと主張している自分も、息子が生まれて育てるようになるまで、ッ社会の矛盾にまったく気が付いていなかった身。そんな私が偉そうに言えるわけではありません。でも息子のおかげで気付かせてもらったことなので、私にはそれを多くの人に伝えていく責任があるように感じるので書いてます。
息子がすごーく「インクルーシヴな社会創り」を望んでいるわけではないのだろうけど、父としては「これじゃダメだろ!後に続く人がゼッタイ困るじゃん!」って思うのです。

■「居場所がない!」それならば・・・

いま、「居場所がない」ことが大きな社会問題となっている。自分の周りにもそういう環境にいる人がたくさんいる。息子との暮らしで気付かせてもらったこと。それは「仲間」と「居場所」があれば、何とかやっていけるものだということ。そういう社会にはまだまだなっていないということ。

人は誰もが、落ち着いてその場所に居られる「安心感」、ここが自分の居場所だと感じられる「所属感」、ここで自分が役に立てているという「貢献感」を感じられる『居場所』が必要であると思います。そして、そんな居場所に辿り着けない人が地域にはたくさんいると思います。

そういう人からすると、「居場所がない」という話に当然なるのだと思います。でも「ない、ない」と言い続けていても、何も変わらない。みんな忙しく、自分のことで手いっぱい。誰かが気を利かせてやってくれるわけではない。

だったら自分たちでやろうよ!いきなりは難しいかもしれないけれど、仲間を集めて、まずは少しずつ。「ウチの子が、ありのままのウチの子でいられるような場」を作ろう。集まる仲間のみんなにとって「インクルーシヴな社会」をつくろう!そんな思い一つで、仲間とともにこれまで活動してきました。

おかげさまで多くの方にご支持いただき、この5年で計50回以上のイベントを行い、参加人数は1,500人を超えました。運営体制面でも2019年2月に川崎市で唯一となる「特例認定」を取得することができました。
そしていよいよ、くるみは地域の居場所づくりに踏み出したところです。これまでの道は平坦ではなかったし、これからもいろいろあると思いますが、ともかくチャレンジしていきます。そのあたりの詳細はまた、Noteにたくさん書いていければと思っています。

なぜなら、そうすることで、他にも「やりたい!」と思う人が現れ、そんな場が地域に増えていく。そうすれば、この社会は今よりもっと豊かな、インクルーシヴな社会に近づくと思うのです。それが、わたしはくるみでやりたいことなのです。

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