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血液検査で何が分かるの?①肝臓・胆のう・脾臓検査編



はじめに


いきなりですが血液検査とはなんですか??
と言われてあなたはなんと答えますか?

「自分の身体に異常がないかを血で検査する」
というような答えが思い浮かぶと思います。

その通りです!!


血液検査とは、
血液を採取しその採取した血液から病状などを調べる臨床検査の一つです。

では具体的に
「この項目ではなにを見ているの??」

と聞かれて答えられますか??


医療従事者の方とかでない限り、
答えるのは難しいと思います。



なので、この記事では、
数字を見ただけでは分かりにくい血液検査の結果の見方や疑う病気、
気をつけなければならない点などを解説していきます。




●主治医に「採血をしましょう」
と言われて採血したけど、
何が分かるんだろう…

●異常なしと言われたけど、
高値or低値になってるけど大丈夫なの…?

この二つの悩みを解消していくための記事
第一弾 肝臓・胆のう・脾臓検査編です‼


⚠注意事項

※安易な自己判断は控えましょう。 症状がある場合には医師に相談を‼ 

※以下にある説明は、
検査項目の異常により疑う事ができる病気や原因についてです。

ただし、この記事に示した病気はあくまでも一例です。
異常値であったからといって、すぐに病気というわけではありません。
また、他の要因と連動して初めて病気として診断されるケースもありますので、ご注意ください。







●総タンパク質(TP)


総タンパク質(TP)とは
総タンパク質とは、
血液中に含まれる様々な種類のタンパク質の総量をしまします。
主なものとして、アルブミンや免疫グロブリンが含まれています。
肝機能や腎機能の検査に血液検査で用いられるのが一般的です。

総タンパク質の基準値(成人)

総タンパク質による診断ポイント

タンパク質は、大部分は肝細胞で合成されます。
そのため、肝機能低下時には総タンパク質は低下します。

主に、栄養状態や全身機能の状態を把握する為の検査や
肝機能や腎機能の病状の把握、
高脂血症の検査などに用いられます。

総タンパク質の異常により疑うべき病気・原因

・低タンパク症(過少)
・ネフローゼ症候群(過少)
・高タンパク症(過大)




●アルブミン(Alb)


アルブミンとは
アルブミンとは、単純タンパク質の一種です。
血液に含まれているアルブミンは「血清アルブミン」とも呼ばれます。

血液中の総タンパクの内50%程度はこの血清アルブミンが占めており、
血液の浸透圧調整や体外物質の保持・運搬機能を担っています。

アルブミンの基準値(成人)


アルブミンによる診断ポイント

アルブミンは肝臓で生合成されることから、
臨床検査においては肝機能の状態を診断するための数値として
血液検査で検査される項目です。

アルブミンの濃度が低下している場合、
肝臓障害や栄養失調などを疑う事ができます。

また、アルブミンと同様に
血液中のタンパク質のうち多くをしめる
グロブリン濃度との比である、「アルブミン/グロブリン比(A/G比)」
についても重要な肝機能検査の項目とされています。


アルブミンの異常により疑うべき病気・原因

・低アルブミン症
・肝機能障害
・栄養失調
・ネフローゼ症候群


●コリンエステラーゼ(ChE)


コリンエステラーゼとは
コリンエステラーゼとは、肝臓や血清中に存在し、
コリネステル類を分解する酵素です。
血液検査で検査する場合、「ChE」と表示されることが多いです。

主に肝機能を診断する検査で利用されれます。


コリンエステラーゼの基準値(成人)


コリンエステラーゼによる診断ポイント

人間にはアセチルコリンを分解する「アセチルコリンエステラーゼ」と
「コリンエステル」などの様々なエステルを分解する
「コリンエステラーゼ」が存在します。

コリンエステラーゼは肝臓や脾臓に多く存在し、
血液検査では、後者のコリンエステラーゼを検査します。

血清中に存在するコリンエステラーゼの大部分は
肝臓で作られていますので、
肝機能を反映する物質として臨床検査で利用されます。

コリンエステラーゼの値が
高い場合には「ネフローゼ症候群」「脂肪肝」、
低い場合には「肝硬変」「肝炎」「肝臓ガン」などが疑われます。


コリンエステラーゼの異常により疑うべき病気・原因

・ネフローゼ症候群(高脂血症・低タンパク血症・浮腫)
・脂肪肝
・肝硬変
・肝炎
・肝臓ガン


●乳酸脱水素酵素(LDH)


乳酸脱水素酵素とは
乳酸脱水素酵素とは、乳酸をピルビン酸に酸化したり、
逆にピルビン酸を乳酸に還元する際の、化学反応触媒となる酵素です。
生理学上「LDH」と略される場合が多いです。


乳酸脱水素酵素の基準値(成人)


乳酸脱水素酵素による診断ポイント

乳酸脱水素酵素は逸脱酵素として、
臨床検査(血液検査)では重要な検査項目の一つです。
主に肝臓障害を把握する為の検査の一つとされます。
ただし、心筋梗塞や溶血、感染症などでも乳酸脱水素酵素の上昇が見られるため、
一概に乳酸脱水素酵素の値が正常値から外れているといってもすぐに肝臓障害と診断できるわけでありません。

また、他の血液検査の診断項目であるASTやALTが正常で、
乳酸脱水素酵素のみが上昇している場合は悪性腫瘍の可能性も診断できます。



乳酸脱水素酵素の異常により疑うべき病気・原因

・肝臓機能障害
・悪性腫瘍



●AST(GOT)


AST(GOT):アスパラギン酸アミノ基転移酵素とは
アスパラギン酸アミノ基転移酵素とは、
グルタミン酸とアスパラギン酸をオキサロ酢酸とαケトグルタル酸に相互変換する酵素です。


アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST/GOT)の基準値(成人)


アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST/GOT)による診断ポイント

AST(GOT):アスパラギン酸アミノ基転移酵素は
人間の体の中では赤血球や心筋などに分布しており、
これらの細胞が破壊された場合に血液中に流入します。
そのため、血液検査を通じて肝臓機能障害の程度を知る事ができます。

肝炎・肝脂肪・肝硬変などの肝臓障害では、ASTや「ALT」の上昇が特徴として見られます。
場合によっては、100以上となるようなケースもあり、中でもアルコール性肝炎では、ASTの上昇が極端に見られます。


アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST/GOT)の異常により疑うべき病気・原因

・各種肝臓機能障害
・急性心筋梗塞
・筋炎
・筋ジストロフィー


アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST/GOT)の改善法

過度な飲酒および肥満に注意することで改善されます。



●ALT(GPT)


ALT(GPT):アラニンアミノ基転移酵素とは

アラニンアミノ基転移酵素とは、
グルタミン酸とアスパラギン酸をオキサロ酢酸とαケトグルタル酸に相互変換する酵素です。

アラニンアミノ基転移酵素の基準値(成人)

アラニンアミノ基転移酵素による診断ポイント

ALT(GPT):アラニンアミノ基転移酵素は、
人体のほとんどの組織に含有されており、
特に肝細胞への分布が多くなっています。
そのため、肝機能障害の指標として利用されます。

ASTと一緒に検査される場合がほとんどです。


アラニンアミノ基転移酵素の異常により疑うべき病気・原因

・各種臓機能障害
数値が高いほど、肝臓疾患が重いことを示してます。
ただし、肝臓がん、肝硬変などが進行している場合は数値があまり上昇しないこともあるので注意が必要です。


●γ-GTP(グルタミルトランスフェラーゼ)


γ-GTPとは
γ-GTP(ガンマ・グルタミルトランスフェラーゼ)とは、
グルタチオンなどのγ-グルタミルペプチドを加水分解し、
他のペプチドやアミノ酸などにγ-グルタミル基を移転する酵素です。
主に胆汁の流れに障害を生じると増加し、
アルコールの多量摂取でも増加します。

γ-GTPの基準値(成人)


γ-GTPによる診断ポイント

γ-GTP(ガンマGTP)は、
お酒を良く飲まれる方に特に注意してみてもらいたい項目です。

特に、アルコール性脂肪肝を診断する重要項目の一つでもあります。
基準値上限として68を挙げていますが、
100以下の数値であれば、飲酒を1週間も止めれば自然とγ-GTPの数値は下がります。

ただし、γ-GTPの値が100以上になるような場合、
脂肪肝が進行している可能性があります。

また、200や300を超えるような場合、
アルコールによる肝臓障害だけでなく、
胆石などにより胆道が詰まっている可能性がありますので、
医師の診断を受けるようにしてください。

大まかな目安としては、γ-GTPの値が100を超えるのであれば、
禁酒をしましょう。

200以上であれば医師からも説明があると思いますが、
エコー検査などの精密検査を受けるようにしましょう。


γ-GTPの異常により疑うべき病気・原因

・各種臓機能障害
・胆のう障害


γ-GTPの改善法

γ-GTPは、アルコールを良く飲む人(過度の飲酒)が原因で数値が高くなる検査として知られているので、飲酒量に注意をしましょう。


●アルカリホスファターゼ(ALP)


アルカリホスファターゼ(ALP)とは
アルカリホスファターゼ(ALP)とは、
アルカリ性条件下でリン酸エステル化合物を加水分解することができる酵素の一種です。

アルカリホスファターゼ(ALP)の大部分は細胞膜に存在し、
その一部が血清中に放出されて存在しています。

主に、血液検査などの臨床検査では、肝臓機能の状態を調べる指標として検査されます。

アルカリホスファターゼ(ALP)の基準値(成人)

アルカリホスファターゼ(ALP)による診断ポイント

アルカリホスファターゼ(ALP)は逸脱酵素の一種で主に胆道から放出されます。
このことから胆石や胆道がん、
胆道性の肝硬変などの病気の際にALPの数値が上昇します。
これらの疾患を総称して、閉塞性胆道疾患と呼びます。

ALPの基準値は60~200位です。
ALPが500程度で中程度上昇、600以上で高度の上昇と考えられます。

この他、ALPの数値が高くなる場合として、
骨の疾患の際にも数値が上がります。

ALPは存在する場所によりそれぞれ特徴が異なりますので、
それらを調べる事により、
どこの異常によりALPの値が高いのかを診断することができます。


アルカリホスファターゼ(ALP)の異常により疑うべき病気・原因

・各種臓機能障害
・胆のう障害
・悪性新生物(がん)



●総ビリルビン(T.B)


総ビリルビン(T.B)とは
ビリルビンとは、ヘモグロビンなどに含まれている生成分解産物のことです。

血液中に存在する胆汁色素で、変動幅が大きいのが特徴ですが、
様々な疾患によりビリルビンの値はさらに大きく変動する為、
血液検査において重要な診断項目の一つとなっています。

総ビリルビン(T.B)の基準値(成人)


総ビリルビン(T.B)による診断ポイント
ビリルビンは、血液検査で「総ビリルビン(T.B)」と表現されます。
さらに、水溶性のビリルビンは、直接ビリルビン、そして、
総ビリルビンから直接ビリルビンを差し引いたものを「間接ビリルビン」といいます。

通常は、総ビリルビンと直接ビリルビンを検査し、
差し引いたもので間接ビリルビンを計測します。

ビリルビンは毒性が非常に強い物質です。

特に、間接ビリルビンの値が大きくなると
脳障害などの危険性も高くなります。


総ビリルビン(T.B)の異常により疑うべき病気・原因
・溶血性黄疸
・肝細胞性黄疸
・閉塞性黄疸
・脳障害


●直接ビリルビン(D.B)

直接ビリルビン(D.B)とは
直接ビリルビンとは、総ビリルビンのうち、
水溶性のビリルビンのことを指します。
血液検査では、主に総ビリルビンとの差
(間接ビリルビンと直接ビリルビンの比)などを元に
健康状態などを検査する項目として用いられます。

直接ビリルビン(D.B)の基準値(成人)

直接ビリルビン(D.B)による診断ポイント

実際直接ビリルビンの値だけで健康状態を診断するのではなく、
総ビリルビンおよび間接ビリルビンとの値を総合的に判断します。

総ビリルビンの数値が大きく、
直接ビリルビンの値も伴って上昇している場合には、
肝炎や胆石、胆道がんなどが疑われます。

逆に、同条件で直接ビリルビンの値が上昇していない場合(間接ビリルビンの値が上昇している場合)は、

肝臓の障害というよりも赤血球の破壊(溶血性の貧血など)が原因となっている可能性が高いです。


直接ビリルビン(D.B)の異常により疑うべき病気・原因

・肝炎
・胆石
・胆道がん


●アミラーゼ(AMY)

アミラーゼ(AMY)とは
アミラーゼとは、膵疾患や唾液腺疾患の診断などに用いられる事が多い血液検査項目の一つです。
検査ではAMYと略される場合もあり、デンプンなどを分解する消化酵素の一つであります。

アミラーゼ(AMY)の基準値(成人)

アミラーゼ(AMY)による診断ポイント

アミラーゼの検査において最も多い疾患は膵炎です。
アミラーゼの値が高く、
かつ、みぞおちや左の腹部や腰背部の傷みや吐き気などの症状がある場合には、膵炎である可能性が非常に高くなります。

なお、膵炎には急性膵炎と慢性膵炎がありますが、主な膵炎の原因としてはアルコールの多量摂取、胆石が原因とされています。


アミラーゼ(AMY)の異常により疑うべき病気・原因

・膵炎




ぜひこの記事と自分自身の血液データを見比べてみてください‼
分からない単語もたくさん出てきていますよね😣

覚えようとしなくて大丈夫‼
辞書のようにお使いください‼

次回は腎機能の血液検査についてまとめます‼
続きが出たら分かるようにフォローしておいてね!!

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