教育改革の全体スケジュール 紹介 来馬哲二
教育改革の全体スケジュール 紹介 来馬哲二
「社会に開かれた教育過程」をうたっている教育改革。これまで作り上げられてきた形を変えていくというのは、すぐにできるものではありません。教育の現場では2020年を目標に徐々に移行していくように動いていますが、幼稚園から大学までどのような運びで移行していくのかを見ておきましょう。
2018年度
新学習指導要綱領の移行措置が開始する
2019年度
高校生のための学びの基礎診断が実施される
2020年度
新学習指導要領が小学校で全面実施され、大学入学共通テストも実施される
2021年度
新学習指導要領が中学校で全面実施される
2022年度
新学習指導要領が高校で実施される
このように、2018年から2022年までの5年間で大きく動いていきます。では、幼稚園から高等学校に分けると、どう変わっていくのかを次にご紹介します。
幼稚園
2018年から始まっています。まず教育改革の優先課題として幼児教育の現場が変わっていきます。というのも、子供の基本的な生活習慣や態度が育まれていくため幼児期への教育が重要視されているからです。今後の方向性としては、幼稚園施設と家庭と地域社会の3者が連携して幼児教育を推進していくことが前提にあります。また幼稚園などの施設以外でも生涯学習振興施策などを通じ、教育力の向上が求められていきます。
つまり生活の場である家庭環境と、発達や学びの場である地域社会や幼稚園施設の連携が今後、密になっていくのです。
参考
第5節 今後の幼児教育の取組の方向性
小学校
2018年から2019年までは移行期間とし、2020年から全面実施されます。学校では新学習指導要綱を円滑に実施するために徐々にその内容を取り入れていきます。
小学校における英語教育は、コミュニケーションとして使えるレベルでの学習が目標になります。
2020年から小学校の授業では3年生から英語に親しむことを目的とした英語活動が始まります。また5年生から英語が教科として加わります。内容は文法など総合的な勉強です。新学習指導要綱では「授業は、すべて英語で行うのが望ましい」とされているので、授業は原則として全て英語を使うケースが予想されます。
そのほか、プログラミングも必修として加わります。教科として盛り込まれるという話ではありませんが、基礎となるプログラミング的思考力の体得が目的とされ、各教科で学ぶことになります。
中学校
2018年から2020年までを移行期間とし、2021年から全面実施されます。中学校では知識や技能だけでなく、表現力や判断力、思考力といった能力を重視した学習内容が取り入れられていきます。英語を例に挙げると、それまで単語や文法を重点的に置いてきた授業が、対話するコミュニケーション重視となっていきます。
ほかにもレポートや研究といった取り組みが始まり、自身で執筆、研究することで表現力や判断力、思考力といった力を養います。
高等学校
2019年から2021年までを移行期間とし、2022年から年次での実施となります。公民の新科目「公共」など高等学校では教科や科目が大幅に再編されます。これは大学入試改革と大学教育改革に合わせた教育内容が基本となっています。この背景には、高校の授業で学ぶ内容が大学入試に合格するための効率重視とした内容であったため、教養として身につくことが少なかったことが挙げられます。そのため、高校で学ぶ内容もさまざまな教養が身につけれられるように変わっていきます。また全ての教科において「知識や技能」、「判断力や表現力」、「学習への興味や人間力」など3つの柱で再編されています。
教科や科目構成の見直しでは以下のようになります。
国語科
「現代の国語」「言語文化」「論理国語」「文学国語」「国語表現」「古典探求」
地理歴史科
「歴史総合」「地理総合」
公民科
「公共」
さらに、新科目として「理数」も設けられていきます。
言語能力の育成と統計処理を含めた理数教育のほか、伝統文化や道徳に関する教育の充実、社会のグローバル化への備えとして外国語教育や職業教育の拡充にも展開されるといわれています。
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