見出し画像

今年、最高に染み入る1冊

マンガ『親のパンツに名前を書くとき』(北川なつさん/実業之日本社)は、寒い日のおでんの大根のような1冊でした。

なつさんが描くやさしく温もりのある人物に自分を重ねながら、エピソードの1つ1つに、そうそう、あるある!と思いながら読み進めました。10年以上前に看取った犬との時間を思い出し、懐かしい幸せな思いに浸り、介護が始まっている父とのこれからの時間に思いをはせました。

いつまで続くか分からない介護は、時に永遠にも感じられ、それが不安や苛立ちになることもあります。日々のタスクに目を奪われると、ストレスにしかなりません。しかし、いつまで続くか分からないということは、ある日突然、終わりを迎えるかもしれないことでもあります。介護に携わる全ての人が胸の奥に持っている真っ暗の深い闇も、愛を持って描いています。

困った時も、いつもと同じ日常も、愛を中心に介護すると幸福な結果につながるよ。

この本は、そのことをじんわり、胸の奥に残していきました。

少女漫画みたいな美女もイケメンも出てこなくて、それなのに登場人物が全員きらきら磨かれた心を持っている。私自身の内にも同じ宝がある。そう思えることに救われる思いもするし、病になっても認知症になっても人を動かすのは、人のやさしさなのだと人間の根底にある素晴らしさに、ハグをされたような安心感に包まれる。

介護に携わる人も、人間関係に疲れた人も、是非読んで欲しい一冊です。

画像1


よろしければサポートをお願いいたします。 車椅子ユーザーと家族、支援者が幸福な介護現場を実現するために、「車椅子事故ゼロ」を目指して啓もう活動をしています。 いただきましたサポートは、今後の活動費に使わせていただきます。あなたのサポートを頂けますと嬉しいです。