クルクリ世界遺産note カンブリア大爆発
さて、先カンブリア時代では、どこか宇宙科学的、地質学的な『地球』の生い立ちを巡る旅でした。
ここからは、いよいよその若き惑星『地球』上で繰り広げられる生物の歩みを辿る旅の始まりです。
BIG5
こう書くとなんだか宝くじみたいなネーミングですが、ここで言う『ビッグファイブ』は地球史に残る『大量絶滅』を示す言葉。
季節の変わり目などは「寒暖差」が堪えるお年頃のクルクリ。しかし、かつての地球の寒暖差はレベチ!青い惑星が白い惑星になるほどに。
さらには地球の激しい躍動や宇宙からの襲撃により、生物は絶滅と進化を繰り返し、その生命のリレーをひたむきに繋いできた。
今回はどのような環境下で、どのような生物がその生命を謳歌していたのか。それぞれの大量絶滅のトリガーはなんだったのか。その壮絶な地球生命史を紐解いていこうと思う。
エディアカラ紀(約6億年前)
原生代最後の地質時代であるエディアカラ紀。これまでの細菌や微小生物が、複雑な器官を持つ生物に進化を遂げた、地球の生命進化史上大きな分岐点である。
この時代のエディアカラン生物群は3000万年に渡り多様化を進めた。そんな彼らの化石が残る場所がある。
ミステイクン・ポイント
10000以上のエディアカラン生物群の化石が残る海食崖。
この時代の生物の多様化のポイントの一つとして、特技『移動』が挙げられる。それはエサの豊富な場所に積極的に移動できるようになるということだ。
しかも移動しやすいように先頭部、つまり頭部ができて、そこには感覚器官(視覚、聴覚、味覚など)があったと考えられるそう。もう仕組みはクルクリとほとんど一緒じゃん!
そして、この移動できるか否かが、生物たちを食う側と食われる側に分かち、生命史で延々と激化する『捕食時代』が幕を開ける。
カンブリア大爆発(約5億4000万年前)
生物はこの時期のわずか1000万〜2000万年の間に爆発的に多様化して、ボディプランと言われる動物学上の分類がほぼ出そろった。
クルクリイメージ図としては、色彩豊かで多種多様な海洋生物が、暖かい浅瀬の海にうじゃうじゃとひしめき合ってる感じ。
澄江の化石出土地域
カンブリア紀初期の海洋生物の化石がほぼ完全な形で多数残る。特筆すべきは、通常化石に残りにくいミミズやイソギンチャクのような柔らかい生物の特徴も残っている点。また、当時主流だった無脊椎動物だけでなく、最古の脊椎動物も発見された。
カナディアン・ロッキー山脈国立公園群
チャールズ・ウォルコットがカンブリア紀中期の化石を多数含む地層を発見し、バージェス頁岩と名付ける。最強の捕食者としても名高いアノマロカリスや、葉足動物のハルキゲニア、ハサミと5つの目を持つオパビニアなどカンブリア大爆発終盤の有名どころ勢揃い。
レナ石柱自然公園
カンブリア紀に海底から隆起した地層。寒暖差まさかの100℃という壮絶な環境の下、凍結融解作用(溶けて染みて凍って割れる)によりシャキンとした石柱が林立する景観となった。地層にはカンブリア時代の化石が多く含まれる。
オルドビス紀(約4億5000万年前)
カンブリア紀から引き続き、生物が多様化の道を歩み続けた時代。いよいよ魚類の初期ご先祖様も登場し始めるが、このオルドビス紀末期には地球史最初の『大量絶滅』を迎えることとなる。
原因は二酸化炭素の6割が減少したことによる大氷河期の到来。地球の半分が20万年もの間凍結し、海洋生物の85%が死滅した。ビッグファイブのうち2番目の規模の大量絶滅である。
二酸化炭素が減少した理由は複数のことが重なったからのようだ。
温室効果ガスを排出していた火山。その溶岩が風化する過程で、逆に二酸化炭素をたくさん吸収するらしい。
また、陸の開拓者である地衣類などの増殖が藻類の増殖も招き、光合成で大量の二酸化炭素を消費したというのも一つ。
きっとこれ以外にも諸々の条件が重なった結果なのだろうが、掘り下げると専門的すぎて理解が追いつかないので、『不運な大氷河期』で納得することにする。
アンティコスティ※NEW!2023
オルドビス紀とシルル紀の境目であるO-S境界で発生した、地球史上初の大量絶滅の記録。藻類や海綿植物、サンゴなどの化石が良好な状態で保存されている。
ということで、原始の生物の進化が華々しく進み、最初の大量絶滅を迎えるまでをたどってみました。
この時代はアノマロカリスや、タコやイカのご先祖様カメロケラスなどが捕食者として君臨。彼らはカンブリア生物を代表する人気者たち。
でも、実は多様化を極め、約3億年にもわたって永く繁栄した、種としての真の勝者は三葉虫らしい。ダンゴムシみたいなやつね。
こどもの頃、ダンゴムシ=王蟲として崇めていたのをふと思い出した。
参考資料