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クルクリ世界遺産note 王の道
妄想時空トラベラー『クルクリの世界遺産note』へご来場下さりありがとうございます。
クルクリにとって世界遺産=扉。地球46億年の生い立ちと人類の歩みを紐解く、無限の旅の入口。
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さて。『シルクロード』の旅がなぜアケメネス朝ペルシアからスタートなのかというと。
張騫さんが西へ向けて出発するより400年も前。この地に、後のシルクロードに繋がるドドーンな道が1本通っていたからなんです。
全長2700kmに及ぶこのドドーンな道が何をもたらしたのか、紐解いていきましょう。
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ダレイオス1世
紀元前522年に即位したアケメネス朝ペルシア第3代(?)王。
多大な功績を残したアケメネス朝最盛期の王ですが、即位の際は擦った揉んだがありました。陰謀、捏造、成りすましや暗殺など、なかなかドラマティックな内容である。
詳細は歴史の父ヘロドトス著『歴史』やへビストゥン碑文などが記録している。が!歴史は勝者によって記録されるもの。記録の真偽を疑問視する声もある。
ビーソトゥーン
先史時代からメディア王国、ササン朝、イル・ハン国などの遺跡が残る。『へビストゥン碑文』にはダレイオス1世の功績や正当性などが楔形文字と共に3言語併記(エラム語、バビロニア語、古代ペルシア語)で記録されている。神官ガウマタを踏みつける麿崖壁が有名。
偉大なる功績
即位後各地の反乱鎮圧。広大な領土を州ごとにサトラップに統治させ、彼らが離反しないよう王直属の『王の目』『王の耳』で監視した。
アケメネス版、悪代官を成敗する助さん格さんであろうか。もしかしたら、時々お忍びで「やっておしまいなさい!」と言っていたかもしれない(笑)。
こうして中央集権体制を確立すると、今度はインフラ整備に着手!
効率的に領土を統治するため、交通・情報網を構築。それが全長2700kmに及ぶ『王の道』である。北海道の宗谷岬〜鹿児島の桜島までが約2800kmなので、まさに列島縦断に匹敵する距離。
常人だと端から端までは約90日を要する行程。気軽には行けないなぁ…。でもご安心を!20〜30kmごとに宿駅が置かれ馬や食糧も完備!その数111ヶ所。川を渡る地点や地方境界などには関所も置かれた。これが駅伝制という仕組みである。
ここではアケメネス版飛脚も活躍。緊急時には、各地に待機している急使が特技『超高速バトンリレー技』を繰り出し、約1週間で縦断したとかしないとか。どの時代も情報の速さは大事なんですね。
歴史を学んでいるとちょくちょく思う。古代人の肉体構造はDNAレベルで今より強靭にできていたはず。古代人vs現代人で競技したら古代人圧勝じゃなかろうか。と。
さて、こうして『王の道』は交易品、物資、情報、人、思想、軍隊など様々なものを運びました。古くはアッシリア時代からローマ帝国以降も活躍する、スーパーインフラだったのです。
この『道』こそが、大規模建築事業や領土拡大を実現させ、ダレイオス1世治世にアケメネス朝最大版図をもたらしたのである。
さぁ。いよいよこの道を歩いてみましょうか。
王の道ツアー
![](https://assets.st-note.com/img/1723280461005-ynAY5KvOMa.jpg?width=1200)
サルデス
西の起点からスタートしましょう。
統一前はリディア王国の首都で、世界初の貨幣を鋳造したことでも知られる都市。この優れた貨幣製造技術を採用して、貨幣制度を導入したこともダレイオス1世の功績の一つである。
帝国全土で価値が保証されたので信用度も高く貿易が活発化し、税制も一元化することができました。
そんな『ダリック金貨』には弓を構える勇ましいダレイオス1世の姿が刻まれている。そういえば、日本の新紙幣未だにお目にかかっていないなぁ。
さて、ゴール地点も確認をしておきましょう。
スーサ
エラム王国、アケメネス朝、パルティアといった大国の重要な都市として繁栄し続けた。そのため、紀元前4000年頃から13世紀に至るまでの遺跡が層を成して残る。現在ルーブル美術館に収蔵されているハンムラビ法典が見つかったことでも有名。
ダレイオス1世が旧都から遷都したのがスーサ。宮殿の『謁見の間』アバダナも良好な状態で残っています。『王の道』を通ってやってきた各地の使節団が、ここでダレイオス1世に献上品を捧げたんですね。
後に新都が建設されますが、その後も政治の中心はここスーサに置かれていました。
さて。『王の道』は紹介したサルデス〜スーサに至るわけですが、周辺の各都市を繋ぐ幹線道路もありました。そんな周辺の都市遺跡も見てみましょう。
スーサの南にはアッシリアによって滅ぼされたエラム王国の聖地が残っています。
古代都市チョガー・ザンビール
なんだかジャバジャバとお酒が溢れ出しそうな名前ですが、ペルシア語で「大きな籠のような山」という意味だそう。遠からず近からず?
前13世紀に建設されたエラム王国の聖地。インシュシナク神を祀る5層のジッグラトがそびえます。
スーサ遷都前の旧都や新都も世界遺産として登録されています。
パサルガダエ
初代王キュロス2世が築いたアケメネス朝最初の首都。王の墳墓やタレ・タフト要塞(=ソロモンの玉座)、庭園を含む王室建造物などが残る。庭園はイラン最古の四分庭園とされ2011年に世界遺産に登録された『ペルシア庭園』に含まれている。
この旧都から南西の位置にペルセポリスがあります。ダレイオス1世が建設を命じてから完成まで3代にわたる約60年を要した新都です。これに必要な大量の物資と人材を帝国全土から集めるのにも『王の道』が大きな役割を果たしました。
ペルセポリス
高さ20メートルの大基壇の上に築かれた都市。馬車ごとのぼれる幅7m111段の大階段をのぼった先にはクセルクセス門(万国の門)が構える。王の待つアパダナ(謁見の間)に続く唯一の入口である。
高さ16mの4本の石柱と石壁、天井をもつ通路状の門には、アッシリア時代のラマッス像と関連を持つとされる人面有翼獣神像が立つ。石壁にはクセルクセス1世が完成させたことを3言語併記で記す碑文が刻まれている。
いよいよペルセポリス最大の宮殿アパダナに到着。高さ20mの柱が72本も林立したが、現在残るのは十数本。王直属部隊や使節団のレリーフなどが刻まれている。
隣にはダレイオス1世の宮殿タチャラ。黒い大理石製で『鏡の間』とも言われた。貨幣や各地の壁に自分の姿を描かせ、3言語併記で刻み広く自分を知らしめる。自宅では鏡に映る自分を眺める。…自分大好きなタイプだ。
玉座殿は国事用宮殿。ゾロアスター教の最高神アフラ・マズダーやクセルクセス王の戦う勇姿が刻まれている。大広間は100本の柱があったことから『百柱の間』と呼ばれたが、現在は土台のみが残る。
バビロン
キュロス2世が征服した新バビロニアの首都。「世界の七不思議」の1つ『バビロンの空中庭園』が存在したという伝承が残る。まるでラピュタ!ネブカドネザル2世が故郷を恋しがる妻のために造らせた庭園とも言われるが、謎が多く、人々の想像力をかきたてて止まない。
アッシュル(カラット・シェルカット)
古代オリエント初の帝国アッシリア帝国最初の首都。また、最高神アッシュル神を祀る宗教拠点でもあった。ジッグラト(聖塔)や宮殿跡が残る。ダム建設による浸水が危惧され、登録と同時に危機遺産となった。
アッシリア帝国といえばオリエント初の統一王朝。アッシュル=バニパル王がその偉業を成し遂げましたが、強制移住や強制労働などの厳しい抑圧策による統治のため、各地の反乱を招き短命に終わってしまいました。
最盛期アッシュル=バニパル王時代の都はニネヴェで、『王の道』の一部はこの時代に既に建造されていた道を整備したものと言われています。駅伝制により各地から集められた情報を楔形文字で粘土板に記し集約した世界最初の図書館までありました。
ダレイオス1世はアッシリア帝国の失敗から学び、納税や軍役さえ守ればその民族の統治を許すという寛容策を打ちます。そうして人民の心を掴んだのでしょう、アケメネス朝は200年以上の繁栄を守ったのです。
この辺は、中国の秦が初めて中華統一を叶えたにも関わらず短命に終わり、その統治をほぼまんまで引き継ぎながら、寛容策によって長く栄華を誇った前漢と似ている気がします。
さてさて。次はいよいよシルクロードの旅で、そんな東の中国に飛んでみたいと思います。
参考資料
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