ことば

美しいような、打算的な言葉で、あなたを分かったふうに語っちゃうおとなになりたくなかった。
ヤバいとかエモいとか、語彙とも呼べない語彙が、実は一番清潔で自然なのではないかとおもった。
わたしは、空気同様に浮遊していたい。この広すぎる世界を一秒で言葉にして、綺麗でおもしろいって気づきたいし、それをみんなに伝えたい。でもでも、わたしは子どもの頃、本を読むのが好きだったから、自分の書いた文章しか読まなくなって、非常に自己中心的になってしまった現在に至ってもそれなりの語彙を持ってしまっていて、的確に的確に、花の色を匂いを綴れば、数日後には萎れて散ってしまったその時間にしか存在しなかったその花を、打算的で大人びて不細工な代物としてホルマリン漬けの言葉にしてしまう。ような気がする。
ことばにできなければ、全部忘れてしまうから、わたしはことばが好きだけど、絵の具で着色したドライフラワーみたいな不自然さを額に入れる感覚は、どうにも納得のいかない気分になってしまう。
いつか、もっと純粋なわたしのそのままのことばを、残せたらいいなと思う。

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