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俺とコークスクリュー@八木山ベニーランド

宙返りという概念を広めた古典的コースター

初乗車:2022年9月17日
好きなセクション:スクリュー

 返りをするという体験を日常的にする機会はあまり無いかもしれない。まあ、体操選手や航空自衛隊なら話は別だろうが、我々パンピー(死語)にとってかなり特殊な体験であることは間違いない。そんな異質な体験をグッと身近に近づけてくれた機種が今回のコークスクリューだ(※1)。

 干威圧感の有るパンダを横目に階段を上がると、すぐに乗り場だ。八木サイと同じく、自由座席なので好きな場所を選び放題乗り放題。車両はとしまえんから移設されたものを使用しているらしく、としまえんがあまり身近な存在では無かった身からすると新鮮な車両に思えた。

早乙女のおじ様!?

 全装置は肩ハーネスのみ。腰部分を包むように座席がデザインされているからか、かなりホールド感がある。大柄な外国人に合わせた設計なのか、かなりしっかりとした着座感だ。

ホールド感のある車両

 スタートすると、ほんの少し下って180度方向転換。この坂がある事でスムーズに巻き上げまで走行できるのだが、駅舎から出てすぐに緩い勾配があるのは、アロー社製コースターあるあると感じるのは俺だけだろうか?(※2) 

少しの勾配がメリハリを生む

 スクリュー部分を横目に見ながら、巻き上げ頂上に着くとベニーランドが一望できる。観覧車からゆっくり眺める園内というのも良いが、コースターの巻き上げから眺める景色というのはまた違った印象を受ける。ゴンドラとは異なり、半身生身の状態で高い場所まで行くからか、風の音や周りの喧騒を五感で感じれて好きだ。

巻き上げ中

 き上げを終えると、助走をつけファーストドロップに突入する。最後尾だとまあまあの引き込まれ感だ。また、先頭でも、もたつきが無くドロップするので好印象。

ベニーランド入口よりコークスクリューを眺める
最後尾だとふんわりとした浮遊感アリ

 ァーストの後は駅舎を回り込むようにして右旋回し、メインのスクリューへ突入。コーナー終盤辺りからスクリューに突入するため、右座席に乗っていると振り落とされそうな挙動を見せて面白い。

駅舎横を通過
右旋回開始!
シームレスにスクリューへ突入するのはスリル満点だ

 心のスクリューもなかなかスリル満点だ。肩ハーネスと自分の胸あたりの隙間が気持ち広いため、宙返りをするたびに体が重力に負け、上半身がせわしなく移動する。コースターが苦手な人からしたら、かなり怖いのではないだろうか。俺はもちろんハンズアップするけど。
 
 クリューは最近塗りなおされたのか、かなり綺麗な緑のレールになっている。既に設置から40年以上経っているにも関わらず、まだまだ稼働させる気満々で好感が持てる。
 
 返り中、”ジェットコースター”の真上をレールが通る。タイミングが合うと、2つの車両が交差するようにすれ違うことがあるのだ。自分はコークスクリュー貸し切り乗車状態の時、1回体験することが出来たのだが、ちょっと、ほんのちょっとだけ気恥ずかしかった(※3)。

当時はエポックメイキングだったんだろうなあ
めっちゃ近寄れるので写真撮影にはもってこい
真下から眺める

 のまま、2回転すると大きく右旋回してブレーキゾーンだ。発車からブレーキまで乗車時間は、わずか1分しかないし、エレメントはスクリューのみ。しかしながら宙返りをするという行為、体験がまだ物珍しく、メインのエレメントとして主役を張れた時代を象徴する、いわば”歴史の生き証人”ポジションの機種としてまだまだ走って欲しい、そう感じた。

最終コーナー
無事帰還

注釈
※1 コークスクリュー国内初登場は1977年、千葉の京成谷津遊園に設置されたものが第1号。当時の記事を見ると、肩ハーネスの事を”太いパイプの安全ベルト”と表現されていたり、なかなか設置許可を出さない建設省(現 国土交通省)と、谷津遊園側の攻防が読み取れ時代を感じる。

 また、大学時代は習志野に住んでいたこともあり、谷津遊園跡に出来た京成バラ園へたまに足を運んでいた。専攻研究に行き詰まると散歩がてらバラを眺めていたのだが、平日の昼間から大学生が花を眺めている風景は、なかなかシュールな絵面だ

※2 同園の八木山サイクロンや、スペースワールドのタイタンも駅舎から出ると直ぐに傾斜があった。海外に設置されているアロー社製コースターも同じような勾配があるので、そういう設計方針なのかも

※3 係りのおっちゃん曰く、1日に1回あるかないかの確率で起こるシチュエーションらしい。レアな体験だった


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