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俺とウルトラツイスター@鷲羽山ハイランド
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初乗車:2009年
好きなセクション:ファーストドロップ
ウルトラツイスターは、1980年代後半のトーゴがスタンディングコースターに続き鳴り物入りで宣伝していた主力機種。製造から30年以上経過し、国内外での撤去が目立つが、全国にぽつぽつと生き残りが存在する。今回はそのうちの一つ、鷲羽山ハイランドに設置してある個体を中心に、乗車レビューとウルトラツイスターの歴史を簡単に紹介していく。
初めてウルトラツイスターが一般公開されたのは、1985年の第32回アミューズメントマシンショー。特殊エレメントとしては垂直ループかコークスクリューが一般的だった時代に、レールを2重らせん構造かの如く捻ることで直進方向へ進む車両を360度回転させる、というなかなかトリッキーなエレメント(ハートラインロール)を取り入れた革新的機種だ。ちなみにショー開催時には、希望者を募った試運転見学会が千葉の鉄工所で行われた。そんなん俺も見学したい。
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当時の公開特許公報(特開昭62-129071)を読んでみると、設計コンセプトとしては、アクロバット飛行の疑似体験というのが念頭に置かれたようだ。それまで宙返りしか体験できなかったジェットコースターに対し、螺旋回転や垂直落下といった曲芸飛行を模擬したマシンを製作したい!という狙いが根底にあったそうな。
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試作機は安全装置や外観デザインが量産機と異なり、3点シートベルトに腰のラップバーのみという簡素な作りをしていた。ただ、量産機ではゴツい肩ハーネスへ変更されていたので、試作機の運行中に何か良からぬことがあったのではないかと少し勘ぐってしまう。(SEGA R360かよ)
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スタンディングコースターの成功と85年IAAPAショー(国際アミューズメントパーク・アトラクション協会主催の遊具見本市。ウルトラツイスターは大型遊具の最優秀賞を受賞している)での高い評価が受け、量産初号機は国内ではなく、海外へ輸出されることとなった。場所はアメリカ Six Flags Great America。今見ても奇抜なレイアウトなので、設置当時はさぞ奇異の目で見られたに違いない。ちなみに稼働初日の待ち時間は150分。ディズニーランドかよ。
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国内への設置は1986年の後楽園ゆうえんち。当時設置されていたアロー社製ブーメランを撤去し、ウルトラツイスターを導入するという気合の入りっぷり。ちなみに当時のキャッチフレーズは"新人類もビックリ!"。ホントにビックリしたかはさておいて、繁忙期の年末から翌年年始にかけて利用客が殺到し、毎日フル稼働で走行させていたようだ。この国内外での成功を糧に、その後数か所に渡って設置されることとなる。
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鷲羽山ハイランドに設置されたのは1991年頃。ウルトラツイスターにはカスタム機種が存在するが(※1)、ここには一番オーソドックスな垂直上昇/スイッチバック方式が設置されている。
この日は雨で利用者も少なかったからか1台で運行をしていた。システム上、最大で6台同時運行が可能なようなので、複数の車両へ同時に乗り降りが可能なようにプラットフォームも長めにとってある。ちなみに鷲羽山は5台の車両を保有しているので、超繁忙期はフル稼働も見れる…かも?
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ごっつい肩ハーネスを降ろして安全確認が済むと、すぐさま巻き上げに入る。通常のコースターだと、巻き上げの高さ分敷地の確保が必要になるが、ウルトラツイスターは垂直方向に車両を巻き上げるため、かなりコンパクトなレイアウトを実現できる。現に、キャメルバックと複数のハートラインロールというハードさを備えながら、全長約390mとキッズコースター並みであるところが驚きだ。この辺はあまり大規模な敷地を確保できない日本の遊園地事情が絡んでくるのかもしれない。
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方向転換が済むと約30秒で頂上へと到達する。垂直上昇中はアンチロールバックの振動がダイレクトに背骨に伝わり若干痛い。また、むき出しの鉄骨に囲まれて上昇するという体験は、元祖フリーフォールに通ずるところがある。
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約30m上昇すると間髪入れずに85度の角度をドロップ! ほぼ垂直落下に近いこのファーストドロップは、製造から30年近く経過した今も迫力は衰えていない。また、助走ゼロで落下するからか強烈な浮遊感というのは無く、無重力に近いほんの少し体が持ち上がるようなエアタイムを体感できる。
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急降下が終わるとそのまま上昇しキャメルバックへ。ウルトラツイスターのキャメルと言えば、浮くイメージを持つマニアが多いかもしれない。現に2009年頃に乗車した時は浮いた記憶があるのだが、今回は全く浮かず、なんなら少し”よっこいしょ…”と言わんばかりにキャメルを超えた。公称最高速度は68.5㎞/hらしいのだが、そこまでのスピードが出てるか怪しい。この日は午前中の間ずっとメンテナンスを行っており、車両のコンディションが本調子でなかった可能性もある。
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なんだか浮かないキャメルを超えると、メインのハートラインロールだ。キャメルを下った直後にあるため、ある程度速度を保ったままくるっと時計回りに回転。レールを支えるカラフルなリングが迫ってくる感覚は漫画やアニメに出てくるタイムスリップの描写みたいだ。
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ハートラインロールを抜けてグイッと上昇すると折り返しの為のブレーキング。結構速度を残した状態でブレーキゾーンに突っ込むので衝撃アリ。その後車両が完全に停車すると、折り返しの為に下部のレールとの接続準備が行われるのだが、ブレーキゾーンごとドッキングさせるというのはなかなかパワープレイかと思う。
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最後は完全に停止した状態からのスタートとなるので、バック走行でのハートライン2連チャンはとんでもなくスローな回転になる。全く遠心力が掛かってないので、体重が肩にガッツリかかってくる。辛い。
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垂直ループがまだまだ一般的だった時代に、レールを捻って車両を回転させたろ!となった発想は凄い。30年も経てば遊具の魅力や迫力など陳腐化してしまうのが一般的だが、ハートラインロールの迫力やスリルは2020年代でも十分に通用するエレメントかと思う。
メンテナンスの大変さや、補修部品の出にくさから海外では全滅してしまったが、国内では鷲羽山を入れて3機種が頑張って運行を続けている。製造元のトーゴが消滅してしまった為に新規設置されることはまず無いと思われるので、乗れる機会があれば1回でも多く乗っておきたい機種だ。
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注釈
※1 代表的な例は北海道ルスツリゾートにあるツイストダイブ方式。コースの端に来た時、スイッチバックで折り返すのではなく、パルパル四次元のようにツイストダイブをして帰ってくる過激なバージョンだ。1985年にトーゴが提出した特許情報では、その他にもハートラインロール中に逆旋回させたり、立体駐車場のようにレールと車両を一緒に持ち上げて最高部まで移動させる等のカスタムレイアウトも可能であることが示唆されている。現に、Six Flags AstroWorldの機種はトラブル発生時の乗客の避難を容易にするため、巻き上げ角度が45度に変更されていた。
引用
[1]©アミューズメント通信社 新聞「ゲームマシン」1985年10月1日269号16面
[2]©アミューズメント通信社 新聞「ゲームマシン」1985年10月15日270号2面
[3]Ultra Twister, Manufacturer stock footage from Togo https://youtu.be/OB70OVuyxPc(2023年5月3日閲覧)
[4]©アミューズメント通信社 新聞「ゲームマシン」1986年11月1日295号16面
[5]©アミューズメント通信社 新聞「ゲームマシン」1987年1月15日300号1面