番外編 俺とターボドロップ@鷲羽山ハイランド
初乗車:2009年
好きなセクション:落下
山陽地方の遊園地で、比較的絶叫系アトラクションが揃っている鷲羽山ハイランド。御多分に洩れず、ここにも垂直落下系のマシンが設置してある。しかも山の上に。
ターボドロップは、鷲羽山ハイランドの一番頂上にポツンと設置してある。土台はコンクリなのだが、周囲が土のため、遠目で見るとボーリング工事の採掘機みたいな雰囲気。
乗ろうと思って近づいてみるも、係員が居らず、とても運転している雰囲気ではなかった。入園口で”ターボドロップ運行中”のチラシが貼ってあったので、?と思っていると、バイトの兄ちゃんがニコニコしながらやってきた。流石の鷲羽山と言えど、ターボドロップのセルフサービス化は行っていなかった様だ。良かった良かった。
この日はチューピーコースターとターボドロップの交互運転をしており、兄ちゃんはコースターの方へ駆り出されていたため、ターボ周辺は無人と化していたのだった。が、よくよく考えると、チューピーとターボドロップをワンオペで回すのは、安全上大丈夫なのだろうか。
色褪せたシートに通され、ベルトをロックされる。貸し切り状態で発射するものだと思っていたが、一向に上昇する動きを見せない。1分、2分と過ぎていく時間。トラブルでも起きたのかと思って係員の兄ちゃんを呼び止めると、もう一組ご案内してから発射します、との事だった。結局5分後、家族連れが乗車したため、ようやく発射準備が開始された。これ誰も来なかったら、延々と待たされるの…?
約20km/hの速度でゆっくりと上昇するライド。山の頂上に設置されているだけあって、景色は素晴らしい。特に瀬戸大橋を一望できる座席へ座ると、雄大な瀬戸内海と、遠くモヤに霞んで見える四国を堪能できる。
マッキーの名曲”遠く遠く”じゃないけれど、自分の故郷である高知県はこんなに高いターボドロップに乗っても見ることが出来ないんだなァ…と、しみじみしながら落下を待っていたのだが、下を見た瞬間におセンチな気持ちは吹き飛んだ。海抜200mの高さは伊達じゃない。尿が出そう。
似たように剥き出し状態でぶん回されるインバーテッドコースターなんかは、まだ、レールが真上にあるし、座席もしっかりしていて安心感がある。一方ターボドロップは、なんかでっかい柱の側面に剥き出しで座らされ、体を支える座席が心許ない薄汚れたペライチの板という恐怖感。
頂上へ着くと、20秒ほど焦らされて落下するのだが、どのタイミングで落されるか分からないのがキツイ。よみうりランドの同型機、クレイジーストンはちゃんと落下直前にアナウンスしてくれるので、一瞬だけなら心の準備が出来る。が、ターボドロップでは、そんな甘っちょろい事するわけねえだろ馬鹿!と言わんばかりに、放置プレイをさせてくれる。ドSだな。一応、落下直前は、タワー真下から圧縮空気のようなものが爆音で漏れ出すため、何となく降下タイミングは掴める。
また、落下する際は重力に従った自由落下ではなく、油圧ワイヤーで制御された人工的な強制落下だ。無重力どころかマイナスGを無理やり作り出すために、降下開始直後は、太ももへハーネスが強烈な力で抑えつけられる。僅か5秒ほどの落下なのだが、体へ受けるマイナスGに自然と声が出る。クレイジーストンもそうだが、この手のマシンはバカみたいに大声で叫ぶと気持ちがイイ。瀬戸内海に俺のバカみてぇな声が響いた。チョー気持ちいい(北島康介)
無事に帰還すると、係員の兄ちゃんは素早くロックを外し、足早にコースターの方へ向かっていった。俺も、あれぐらい気持ちの切り替えを素早くして生きていきたい。