始祖鳥とかイグアノドンが好きな子供だった大人向けの展覧会ー恐竜図鑑
日本帰省もはや1カ月半。あと3週間弱でニュージーランドへ帰国となります。実家の山積みの問題を一つずつ解決していくのに精いっぱいですが、時々、息抜きにお出かけをしています。その一つ、3月末に神戸の兵庫県立美術館の「恐竜図鑑―失われた世界の想像/創造」に行ってきました。
この展覧会には、恐竜の展覧会の目玉であるべき、化石が一切出てきません。展示されているのは、200年前の人が描いた、今から見るととんでもない恐竜から、現在の最新科学による最新の恐竜まで、いろんな恐竜たちの絵です。
私は小さいころ、学研の図鑑が大好きで、その中でも「恐竜」の巻は、「動物」「鳥」に並んで、お気に入りでした。特に引きつけられたのは、始祖鳥とイグアノドンです。心躍らせた始祖鳥の絵は、一番上の写真がまさにそのもの(撮影OKの絵が多かったです)。
一方のイグアノドンは、化石が発見された当初と現在では、かなり描かれる姿が違っているのは有名な話。
翻訳者のはしくれとして興味深かったのは、「dinosaur」に「恐竜」という訳語を作った、これまでその存在に思いをはせたことがなかった、横山又次郎という人の紹介でした。今までにない概念にふさわしい日本語を考えだす、という偉業を担った先人たちの一人です。この方は「始祖鳥」という言葉も作られたそうです。
ちなみに、現在よく使われている漢字2語の単語って、「自由」「文化」「社会」など、幕末から明治時代に、日本にないコンセプトを表現するために作られた言葉が多いです。昔の翻訳者はすごい!
展示された絵の中で一番印象に残ったのは、兵庫県の動植物の生態環境の復元図(2014年 小田隆)でした。もちろん、これだって、100年たてば、全然間違いだった、とされるかもしれないわけですが。
私としては非常に満足な展覧会でしたが、いわゆる恐竜展を期待していくと、残念な思いをすることになるかも。春休み中だったので、小さいお子さんもたくさんいましたが、恐竜の絵の変遷を味わうこの展覧会の面白さを味わうのは、ちょっと難しかったのではないかなあと思いました。
始祖鳥とイグアノドンが好きな子供だった大人にお勧めのちょっとひねりのある展覧会です。5月14日まで。