生活のリズム
私は時間の管理が得意ではありません。
決まった時間に決まったことをするのが苦手で、思いつくままに生きていたい人です。
だから周りの人に迷惑を掛けてしまいます。
夜の早寝が特に好きじゃありません。
子供のころ眠くもないのに、早く布団に入るように言われて困っていた。
寝室から、ふすまを開けてそっとリビングを覗いてみると、両親が『パンチでデート』という番組を見ていて、自分も一緒に見たかった記憶があります。
その番組は、お見合い番組のようなものです。男女の手に持っているボタンを押すと、後ろの電飾のハートマークが半分ずつ光って電気が付き、二人がボタンを押すとハートマークが完成する番組です。
両親は、性的なことは、子供に隠すような人でした。
人を好きになることも隠さなければいけない事みたいな風潮がある家庭で育ったので、人を好きになるとかそういう事は口に出せず、TVのキスシーンがあると、すぐにチャンネルを変えられてしまうようなそんな家でした。
思春期を迎えて、家の本棚を見ていると、両親の秘密の本が出て来ました。
それは、男女の営みが詳しく絵で描かれているものでした。
両親の本質の部分を垣間見た時でした。
私が育った家では、愛や性について話すことはご法度でしたが、なぜか、結婚については、うるさく口を出してきました。
そして、結婚したら今度は、母親から婦人体温計を渡されました。
結婚は、自分のしたいタイミングでは出来ませんでした。
そんな思いで結婚した相手と、子供を作る気にもなれませんでした。
私は、毎朝、婦人体温計を口に加えてグラフを書き続けました。
主人とは、何もありませんでした。
体温を測ってグラフを書いたのは、母に対する申し訳なさと、自分の体の仕組みを知りたい興味本位からでした。
罪悪感はいつも私に付きまといました。
本当の気持ちを隠したまま生活するのは、時に苦しく、何度も感情が爆発した。
大声で泣きながら、ここから出たいと何度も訴え続けました。
何度も家出して、何度も主人とケンカした。
どうしてこの人とここにいるのか、分かりませんでした。
主人に対して申し訳ない気持ち。
式に招待して、来てくれた人に対する申し訳ない気持ち。
そんな気持ちを隠すために、自分の本心とは違う選択をし続けた。
やりがいを持ってやっていた会社を退職した。
みんなと離れて、こっそり離婚しよう。そう考えていた。
本当は、離婚をしたかったのに、大好きだった仕事を辞めてしまいました。
そんな心に沿わない生活をしていて、心のバランスを崩していきました。
ここからどんどん嘘で塗り固められた人生を歩むようになります。
結局、本当の気持ちに従えず、26年という長い月日が過ぎてしまいました。
何度も何度も体の奥からこみ上げてくる思いに蓋をしながら、生きてきた。
そして、人生の半分を過ぎたころ、やっと本当の気持ちに向かい合って自分の人生を生きようと思い始めたのです。
もうこのまま死に向かって行くのは嫌だ。
私は、自分の残りの人生を自分の大切な人と大切に生きたい。と強く強く思うようになりました。
そんな思いを神様が聞いてくれたんでしょうか?
私には、大切な人が出来ました。
やっと大切だと思える人に出会えました。
その人は、私が苦手にしている、早寝早起きが出来る人です。
そして、朝起きると窓を少し開けて部屋の空気を入れ替える人です。
そんな何気ないところがとても好きで尊敬しています。
何気ない生活を大事にしていることろが素敵です。
その人がどんな風に生きてきたのか知りたい私がいます。