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新興宗教にハマらなかった経緯4
《ふたつのスクール》
本格的にデザイナー養成の授業が始まった。
専門学校に入学して、急に視界が拓けた気分だ。
予備校生の時までの私は、空気も読めなくてワガママだった。
アート至上主義者はそれが当然と振舞ってたし、
とにかく承認欲求が高く、視野狭窄だった。
なんと、そんな私に、急速に友人が増えて行く!
すんなり友達になれる経験は、生まれて初めてのことだ。
夢を諦めてデザイナーになろうとしたせいかはわからないが、
私の何かが確実に変わっていった。
そして、占いで勧められたカルチャーセンターもある。
こちらは昼間の専門学校が済んでから、週1、2回のペースで通った。
施設に到着すると毎回、図書館のビデオブースみたいな場所に通される。
視聴学習、担当者とのディスカッション、
アンケート記入の順でカリキュラムをこなす。
それから、次回の予約を取って、最後に軽食を食べておしまい。
ビデオ学習では、だいたいテレビ番組の録画を観ることが多かった。
学習で学んだことは、多岐に渡った。
「ゴースト/ニューヨークの幻」など、幽霊が出てくる映画。
ブッダやキリストを解説しているバラエティ色の強い情報番組。
伝記を取り扱う番組も多く、偉人の家族関係にスポットがあてられた番組が多かった。野口英世の母親の無償の愛の話しなどは心打たれた。
最初にやってもらった占いのような、運営団体オリジナルの専門性が高い教材を視聴する事もたまにはあったが、それはやはり難しかった。
次は施設の担当者と対面でビデオを見たフィードバックをし、ディスカッションをする。
信仰心とは何か。
先祖から良い物も悪い物も受け継いでる事(すなわち因縁は存在する)。
だから死んだからと言って終わりではない事。
親の愛とは何か、親への感謝の気持ちとはというものであるか。
親子仲をよくしておくとどんな良いことがあるか・・・
などが、導かれながら道徳的な価値観を無理なく腑に落ちるようにプログラムが組まれている。
とはいえ、何かの宗教色は一切感じられない。
占いも遊びだと思ってたし、神も仏も全く信じていなかった私の価値観が変わっていった。
通うたびに楽になるし、良いことを発見できる。
受講料7万円以上の価値はあるなと感じた。
軽食も美味しかった。
温めてある小さなおにぎりふたつと、お味噌汁。
心遣いが感じられて、いつも食べると幸せになった。
しかし私の違和感は全くぬぐえなかった。
このサロンに3ヶ月、4ヶ月通っても、モヤモヤしていた。
やっぱり怪しい団体なのかもしれないと毎回疑っていた。
その理由のひとつめ。
受講生同士の接触が起きないように受講スケジュールが組まれていたこと。それまで、カルチャーセンターは友達作りの場所だと想像していたがここはそうではない。
ここには私と同年代から30歳代半ばくらいまでの人たちが通っていて、グループワークの方が人件費も効率も良くなるのに、どうしてそうしないのか?
ふたつめの疑う理由。
通い始めた時に、約束させられた。
「ここに通ってることは秘密ね。」
「何も知らない人がここの活動を聞いたら心配するでしょ。
うまく説明できますか?だから秘密にしてね。」
ここで不快な勧誘はされないし、受講料がバカ高いわけでもない。
おかしいような、気がする・・・
でも、やっぱりこの学びは、まだ続けたいと思う。