俳句 冬至〜啓蟄
大根煮る音だけの昼手紙書く
枇杷の花蕾は丸く陽を包み
冬星を引き寄せ北の海は荒れ
明日どんど境内風の音ばかり
青天に一点の黒寒鴉
響き合う言の葉光る冬の星
冬銀河きのうの吾を良しとして
雨音の幽かな朝や春隣
明日からは又新しき鬼は外
土塊の中の卵の浅き春
壬生菜摘む昨夜の雨のホタホタ
盤上の一手の支配冴え返る
山道の春燈バスのゆっくり来
春燈を消してふと香の残りたる
ボール追う少年追い越す春一番
葉脈の全てを伝う雨の春
石畳凹みを揺らす春の水
蓬蒸す大家族の日の遥か
春潮や桟橋洗うさよならの
蛤の出汁の香胸には灯るもの
啓蟄や誘われ映画へ世の中へ