自選俳句 春分から穀雨
人の子も蜂も巣分かれ日の中を
春の日を一匙掬う粥の白
麦青む風雨貫く背すじ見せ
菜種梅雨紙漉くように窓流る
街燈の音なく消ゆる春暁や
網籠の桜鯛の眼の海よ
魚の棚さより水平線より来
春雷や街はまるごと縮んだか
花影の辻󠄀を護るや幾世代
揚げ雲雀この空今は君のもの
蔦若葉日を吸うて吐き発光す
十薬は匂いの使者を先ず寄越し
よぎる香や青麦の熟れ始まるか
頭上注意飛燕知らせる札かかる
明日は明日牡丹開く今日の良き
そら豆のさや寝袋にしてみたき
終りなき巡りの今や花は葉に
朧夜の光跡坂道下りゆく
春惜しむレモンサワーの泡いくつ
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